アミューズ・大里会長、訪日観光客の誘致には「舞台芸術の集積地が必要」
「フエルサ ブルータ WA!!」ロングラン決定、常識を突き破ったステージがさらに進化
アルゼンチンで生まれたこのパフォーマンスショーは固定の“舞台”がなく、演者は前後左右、上下、さまざまな場所から突如現れ、オーディエンスの間近で、大量の紙吹雪やフロアにまで流れ落ちる水しぶきの中で、躍動的な演目を次々と披露していく。それはまさに“驚き”の連続。そして、この注目のプログラムの新作“WA!!”の世界初公開を実現させた立役者の1人がアミューズ代表取締役会長の大里洋吉氏だ。
「真っ暗な空間に立たされていると、パラパラと豆を落とすような音が天井から聴こえたと思ったら、そこへライトがシュッと走る。そのうち天井の音が爆音に変わっていき、“上で何かが起きるんだな”と思い始めたところへ、いきなり天井に張られたケント紙を突き破って真ん中から人が逆立ちでズドン!と落ちてきた。初めて観た時から何と表現したら良いのかわからない感動を覚えましたね。僕らが芝居というと客席に座って正面をみて、せいぜい舞台が左右に広がるくらいでしょう。そうした常識を突き破ったものだった」
日本を観光でもメシを食べていける国に
ディキ氏からもすぐに返事が来て、大里氏はさっそく浅草へ連れていき構想を語った。さらに日本各地で日本文化にも触れてもらったという。
2〜3日の出張で来日した知人だとか、ちょっと日本の文化に興味を持った人に観てもらうのにちょうどいい夜のショーといえば、六本木の「金魚」くらいでしょうか。あそこは僕も好きなステージですが、もっと進化したものを大仕掛けで観せたいと思ったら、ディキの世界観がぴったりだった。そこで彼と一緒に、日本文化を盛り込んだ『フエルサ ブルータ』である“WA!!”を創ろうと思ったのです」
「来日したら必ず観たい」と言ってもらえるステージに
「先ほど挙げた都市はさまざまな言語の人が日夜行き交っている。そのために工夫して言葉がなくても楽しめるものを作っています。しかし、日本にはノンバーバルにピタリと当てはまる用語がないくらいに遅れている。この点は海外から舞台を招聘する時にいつも意識することですが、今回も、その点は徹底的にこだわりましたね。夜の予定が空いていた時に、インターネットで手軽にチケットを取って来場する、ということが、どこの国の人でも、いつでもできるような内容を目指しました」
「まだまだ試行錯誤の最中ですが、今後ロングラン公演していく中でキャスト・スタッフのクオリティもさらに上がっていくでしょう。配役を公演の直前に決めているのもそうですが、日々変化し、何度来ても驚きの連続という点も、このステージの魅力の1つ。キャストの力に頼らず、演目自体の力を上げていく。それがロングランを可能にします。東京に行ったらアレを観ないと損だよね、という状態を目指します。それだけの手ごたえは感じています」
品川という地の利も活かし、日本文化の発展に寄与
この場所での『WA!!-Wonder Japan Experience フエルサ ブルータ』のロングラン公演は、必ずやインバウンド効果はもちろん、日本文化そのものの発展・成長にも寄与していくだろう。まずは、世界を驚かせた“体感型”パフォーマンスに、日本文化が組み合わさったこの意欲作の動向を注視したい。