イルミネーションを設立7年で人気ブランドへ シリーズ育ての親が語る“ミニオン”ヒットの仕掛け
歴代最高ヒットへ向けて最注力したターゲティング
今夏の大ヒット映画になった『怪盗グルーのミニオン大脱走』(C)UNIVERSAL STUDIOS.
こうした状況に安達氏は「新作発表の段階で、社内の目標設定は非常に高かったですし、社外からの期待も大きかったです。そこで目標達成のために一番力を入れたのが、作品をどの層にぶつけるかというターゲティングでした」と語る。
具体的には「シリーズの積み重ねのなかで、『ミニオンズ』で大きな数字の増加があったのですが、ここで増えたのが10代後半から20代前半の男女。ミニオンというキャラクターが、若い世代に受け入れられている手応えがありました。今回も前作に続いて夏休み公開だったので、このターゲット層は踏襲しながら拡大させる戦略になったんです」と振り返った。
マーケティングから生まれたミニオンのキャラクター
グッズも大人気のミニオン
「ミニオンは、SNSとの親和性が高く、またジャンルレスな展開の各種グッズの売り上げも好調です。日本市場で洋画のアニメキャラクターは、安心感がないとなかなか受け入れてもらえません。ところがミニオンは、当初からすごく反応が良かった。これは、イルミネーションが日本を含めた全世界でマーケティングを行い、そこからのいろいろなアイデアをキャラクターに反映させた結果だと思います」
そこに加えて今作では、さらなるヒットへ向けて、これまでにシリーズを観たことがない層へも積極的にアプローチしていった。「大きかったのは、今年4月のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの『ミニオン・パーク』オープンです。映画以外のシーンでミニオンという存在がさらに大きく世の中に広がっていく瞬間でした。そこからグッズ展開も加速し、一般層への認知が一気に拡大した手応えがあります。そして、映画鑑賞意欲を削ぐ大きな理由の1つである『シリーズ過去作を観たことがない』に対しても、定番ではありますが、映画公開時期の過去作品の地上波オンエアで応えました」。
日本で浸透したイルミネーションブランド
東宝東和 宣伝プロデューサー・安達佳孝氏
「まだスタジオ設立から7年というなか、やっぱり立役者となっているのは『ミニオン』だと思うんです。確立したブランドを活かして、ここからどれだけ飛躍させられるかが大事ですね」と先を見据えていた。
(文:磯部正和)