本籍はニュルブルクリンク
「メルセデスAMG GT」シリーズの頂点に君臨するハイパフォーマンスモデル「AMG GT R」に試乗。エンジン、シャシー、空力性能が磨かれたフラッグシップスポーツは、まさに公道に降り立ったレーシングカーだった。
ピークパワーは585psへ
メルセデス・ベンツをベースとしない、AMG独自開発のスポーツカー第2弾、その名もAMG GTの走りを究めたモデルとして登場したメルセデスAMG GT Rの試乗会は、ポルトガル南西部に位置するアルガルベ・サーキットで開催された。激しいアップダウンにブラインドコーナーが連続するこのコースは、ニュルブルクリンク北コースで7分10秒9という、後輪駆動市販車最速タイムをたたき出したクルマを、そのニュルブルクリンクが使えない冬期に評価するには、まさに最良の舞台だ。
それにしてもAMG GT R、見た目からして獰猛(どうもう)さが増していて、ずらり並ぶ姿はまるで威嚇するかのようだった。今後、AMG GT全車に使われることとなった、「300SLプロトタイプ」のそれをモチーフとする“AMGパナメリカーナグリル”をいただくフロントフェイスには大きな開口部が備わり、しかもフォルムは格段にロー&ワイド。何しろそのフェンダーは左右合わせて「AMG GT S」より68mm広げられており、全幅は2007mmにも達するのである。
試乗の前に技術展示を眺め、エンジニアに話を聞く。まずV型8気筒4リッターツインターボエンジンは、ターボチャージャーやウェイストゲートを改良し、過給圧を1.20barから1.35barまで高めるなどの変更の結果、最高出力を585psまで向上させている。これはAMG GT Sの実に75ps増である。AMGスピードシフトDCTも、軽量デュアルマスフライホイールの採用により変速時間を短縮している。
前275/後325サイズまで拡大されたタイヤは、試乗車ではサーキット向けと言っていい「ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2」を履いていた。そのハイグリップに合わせて、サスペンションはよりハードにセッティングされ、さらにリアタイヤを100km/h以下の速度域では前輪と逆位相に、それ以上では同位相に最大1.5度までステアする後輪操舵機構も組み合わされている。
さらに、車体はそのワイドなフロントフェンダー、トランスアクスルのトルクチューブ、ドライブシャフトにフロア下の補剛パーツなど各部にCFRP素材を用いることで軽量化。AMG GT Sの15kg減という車両重量は、ここまで列記した内容を考えれば、十分に成果アリと言っていいはずである。...