世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。
その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、なんと大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した本だ。なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか?
脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』が、発売後たちまち第3刷が決まり、「日経新聞」にも大きく掲載された。
9月7日土曜14時、東京・八重洲ブックセンターに約80名が集結。満員御礼で行われた出版記念講演会の5回目を特別にお送りしよう。
ロック、ホッブズ、ルソーは何を考えたか
フランス革命の前に、いろんな哲学者がいました。
有名なのは、ジョン・ロック(1632-1704)です。
人間は生まれながらに固有の平等の権利を持っていると説いた(自然法)。
人間は本来、自然法のもとでみんなが平等に暮らしていたと。ロックは国王の圧政に対していろんな理屈を考え出したのです。
自然状態で自分の平等の権利を持っていた人間はどうしたかといば、有名なホッブズ(1588-1679)対ルソー(1712-1778)の争いになる。
ホッブズは、みんなが自分の権利を主張するとケンカになると考えたのです。
「この土地は俺のもんや」「いや、俺の土地はここや」と境界線はいつの時代も曖昧です。
互いにケンカをしたらきりがない。
みなさんは「万人の万人に対する戦い」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
ホッブズは、人間は放っておいたら、永遠に殴り合いをやっている。だからコモンウェルスによって、権力を持つ人がきちんと治めないと人間の生活は成り立たないと主張しました。
でも、ルソーは逆。
そもそも人間はみんな仲良く暮らしてきたと考えた。
だが、時として国王が圧政を行う。それに対抗する理屈を考える中で、いろんな「人権思想」が生まれてきたのです。...