真のドライバーズサルーンをお望みなら
「ベントレー・フライングスパーV8」の高性能仕様「V8 S」に試乗。21psと20Nmのエクストラを得た「S」モデルで印象的だったのはバランスの良さ。端正さとスポーティーさがジェントルに釣り合った、きめ細かなドライバーズカーだった。
オーナードライバーのために
2016年3月のジュネーブでお目見えしたベントレーの最量販モデル、フライングスパーV8の高性能版である。フラッグシップの「W12」とV8の間をつなぐ、という位置付けで登場したこれは4リッターV8ツインターボが最高出力507psから528psに、最大トルクが660Nmから680Nmに強化されている。
でもって、2017年モデルのお値段は12気筒が2435万円であるのに対して、V8は1945万円、V8 Sは2100万円とお値打ちになっている。V8より155万円高くて、12気筒とは335万円の距離がある。つまり、V8を買う人に、プラス155万円で、21psと20Nm、それに0-100km/h加速が0.3秒速くなって、内外装がこんなにスポーティーになりますよ、とオススメするモデルなのだ。
飲食業界では、客単価を上げるために松竹梅とグレードを3つ設ける。3つあると真ん中の竹が売れるそうなのだ。で、フライングスパーV8 Sの場合は、ショーファーに運転を任せるのではなくて、自分でステアリングを握る、よりエンスージアスティックな、ベントレー本来のオーナードライバーのための4ドアサルーンなのである、ということになるだろう。
外観はマトリックスグリルと呼ばれる例の餅焼き網グリルがグロスブラック仕上げになってすごみを増し、グリルの下のバンパーがF1のフロントウイングみたいなデザインになる。V8では19インチが標準なのに対して、V8 Sは20インチのホイールに格上げされる。ただし、テスト車はオプションの21インチを履いていて、足元がいっそうキリリとしている。
タイヤは275/35ZR21のピレリP ZEROだ。これって「フェラーリF40」で登場したブランドである。SUVみたいに径がでかくて、スーパーカーのように超偏平。ホイールの形状のせいか、マテルのホットロッドみたい、と筆者は思った。
視線を後ろにズラしていくと、エッジの立ったリアフェンダーの盛り上がりで目が止まる。1950〜60年代のフライングスパーを思い起こさせる。現行モデルのデザイン上のハイライトである。...