知る人ぞ知る専門店
BMWアルピナのフラッグシップモデル「B7ビターボ リムジン ロング」に試乗。608psの4.4リッターV8ツインターボエンジンを搭載するスーパーリムジンの実力を全方位で探った。
独立独歩で半世紀
他人から尋ねられても、簡単なキャッチフレーズでは説明するのが難しい車の筆頭がアルピナである。昨年創立50周年を迎えたとはいえ、よほどの車好きでなければその実情を知らず、登山用品のブランドか何かと思っている人もいる。何しろ生産台数が限られているため、実際に見て乗った経験のある人は少なく、また普通の自動車メーカーのようにCMなどで声高に自己主張しないので、いまだにしょせんBMWのチューニングカーだろう、というような不正確な捉え方をしている人も少なくない。そんないい加減な発言に対しても、あまり表立った反論をしないのがアルピナの流儀である。どうも分かる人にだけ分かればそれで十分、と考えているふしがある。
あらためて要点を挙げると、創業者の名前を冠した「アルピナ・ブルクハルト・ボーフェンジーペンKG」の歴史は、「BMW 1500」用のキャブレターを開発した50年前に始まり、歴代のBMW各車をベースにきわめて端正で高品質、そしてもちろん高性能なセダンとクーペを作り続けてきた(今ではSUVもあるが)。チューニングショップどころか、れっきとしたマニュファクチュアラーとして認められているうえに、しかも今ではメルセデス・ベンツのブランドのひとつとしてグループ企業となっているAMGとは対照的に、現在に至るまでアルピナはBMW本体との資本関係を持たない。それでいながらBMWとの深い協力関係を維持しているという実に珍しいポジションを守り続けているメーカーなのである。今なお生産能力は年間最大1700台というから、あのフェラーリの半分にも満たない。...