上級ヴェゼリストに捧ぐ
「ホンダ・ヴェゼル」にパワフルなターボエンジン搭載モデル「ツーリング」が追加された。自然吸気エンジンを搭載したスポーティーグレードが「RS」と名乗る中、どちらかといえば優雅な風情を持つグレード名を採用したことには、どのような事情があるのだろうか。
フルモデルチェンジにはまだ早い
今回の1.5リッター直噴ターボの追加は、国内発売(2013年12月)からまる5年が経過したヴェゼルの、6年目に入ってのテコ入れの意味がある。発売から5年といえば、日本では新車登録から2度目の車検をむかえる時期でもあり、ディーラーでは買い替えの営業を本格化させるタイミングでもあるからだ。
こういう場合、従来の感覚だと同じジャンル内での上級移行をうながすのがお約束である。その点はホンダもぬかりなく、ヴェゼル発売5周年の直前となる2018年夏に、新しい「CR-V」をきっちりと国内に登場させている。ただ、最近はみんなで手を取りあってステップアップする時代でもないし、まして今のCR-Vは北米市場に最適化したサイジングだから、日本では“大きすぎる”と敬遠されるケースも少なくない。となると、日本にちょうどいいのはやはりヴェゼルである。
もっとも、発売から5年となればフルモデルチェンジしても不思議でない頃合いでもあるのだが、ヴェゼルはそのちょうどよさゆえに、国内販売でもモデル末期的な明確な鈍化はいまだに見られない。さらに、ヴェゼル(海外では「HR-V」と名乗る市場が多い)はCR-Vに次ぐグローバルSUVでもあり、北米や中国での発売は日本の1年遅れ、欧州ではさらに2年遅れて市場投入された。つまりは、世界的にはフルモデルチェンジにはまだ早いのだ。
というわけで、直噴ターボを積んだヴェゼルは、装備内容も充実させたツーリングという新設定グレードとしたこともあって、FFのみで290万円超の正札をさげる。
これと基本的に同じエンジン、同じ駆動方式、同じ乗車定員のCR-V(=「EX」グレード)は額面で30万円ちょい高いが、じつは約35万円相当のオプションとなる純正「インターナビ(+ETC車載器)」がCR-Vでは標準装備なのだ。まあ、細かい装備差を考慮する必要はあるものの、両車の価格差は実質的にほぼゼロか、あったとしても数万円程度といったところだ。これって、ヴェゼルが高いのかCR-Vが安いのか……。...