何もかもがけた外れ
ベントレー初のSUV「ベンテイガ」がいよいよ日本の公道に降り立った。パワーとスピード、そしてラグジュアリー性において、他を凌駕(りょうが)すべく開発された“世界最高峰のSUV”。その実力を全方位的に探った。
豪勢で高性能
現代の高級車ビジネスとしては当然の成り行きではあるのだろうけれど、現実に市販モデルとなったその威容を目の当たりにすると、正直感嘆というよりも唖然呆然(あぜんぼうぜん)が入り交じったため息が出る。とんでもなく豪勢で、驚くほど高性能で、そしてもちろん高価なベントレー初のSUVがベンテイガである。SUVがごくごく当たり前の風景になっている今、ベントレーの参入をとやかく言う時代ではないのは百も承知ではあるが、それでもなあ、とどこか割り切れない気持ちは残る。あのベントレーがSUVに乗り出すなんて、まるで伝統と格式を誇る名門ファッションブランドが、トレーニングウエアを売り出すようなものではないか、という違和感が正直拭えないのである。
いっぽうでマーケットがそこに存在し、欲しがる顧客がいるのなら、古くさいことを言っている場合じゃない、という気持ちもある。そもそもベントレーは高性能でスポーティーなドライバーズカーで名を上げたブランドである。ロールス・ロイスがSUVを作るよりはずっと収まりがいいのも事実だし、便利で楽チンだからと政治家の先生方がこぞって国会に乗りつけるミニバンよりもずっと“きちんと感”があるのは、ベントレーとしての価値を疑われないようにあらゆる手を尽くしてあるからだろう。6リッターW12気筒ツインターボという超弩級エンジンを搭載し、贅(ぜい)を尽くしたベンテイガは、プレミアムなどという言葉を歯牙にもかけない雄渾(ゆうこん)なモンスターSUVである。...