エロスの化身
「メルセデス・ベンツCLSクーペ」に試乗。テスト車は新開発の直6エンジンを積んだアッパーグレード。その技術的な素晴らしさにひとしきり感心したのちにリポーターが見いだしたのは、この4ドアクーペが漂わせる、もっと根源的、人類的ともいえる魅力だった。
新しいけどどこかで見た顔?
2018年6月に日本で発売となったメルセデス・ベンツの新型CLSクーペには、AMGをのぞくと、2リッターディーゼル4気筒の「220d」と、3リッターガソリン6気筒で4WDの「450 4MATIC」の2種類がある。どちらも車名の後ろに「スポーツ」の4文字が付く。そこにこのクルマの性格が表現されている。前者は799万円、後者は1038万円の高級車で、今回は高い方、「Sクラス」のマイナーチェンジでメルセデスとしては20年ぶりに復活したストレート6を搭載することでも話題のCLS450を路上に連れ出した。
あらためてマジマジとCLS450を眺めてみると、つり目の変型ヘッドライトとグリルとの位置関係から、フロントマスクは現行「マスタング」を思わせる。アメリカンな無頼の雰囲気が漂う。でっかくて、ぶっとくて、薄いタイヤは前245/40、後ろ275/35の、ともに19インチ。AMGもかくやの迫力だ。のちに発表された「AMG CLS53 4MATIC」は20インチで、さらに1サイズ大きいわけだけれど、エレガントというよりは粋がることでメルセデス・ベンツはブランドの若返り、再生を果たした、と表現できるのではあるまいか。
マットペイントは26万1000円のオプションだけれど、オーバー1000万円の高級車を購入しようという御仁にとっては望むところだろう。社有車には絶対に見えない。
運転席に座ってみると、試乗車には57万5000円のオプション「エクスクルーシブパッケージ」が選ばれていて、しなやかなナッパレザーが心地よい。「ベンガルレッド/ブラック」の内装色に、「グレーアッシュウッド」と呼ばれる銀色のウッドパネル、それにタービンエンジンをモチーフにしたというエアダクトがバロックというのかビザールというのか、男女の密会にふさわしい妖艶(ようえん)なムードを醸し出している。暗くなると、これらエアダクトにも仕込まれたアンビエントライトが室内を紫色に彩り、エロチックな夜をつくり出す。いいなぁ……。このライトは64色に切り替えができるけれど、たまたま設定してあった紫色、オススメです。いまでもあるのでしょうか、フランクフルト空港のセックスショップを思い出す。...