物理法則は正直だ
“アンフォロー”をテーマに、ブランドの既存のルールにとらわれない独特な立ち位置でデビューした「BMW X2」。しかし、いくら“鬼っ子”として振る舞っても、出自はなかなか隠せないもの。試乗を通じて感じたのは、あのクルマとの強い類似性だった。
メインターゲットは若者
2000年の初代「X5」でスタートした「X」シリーズはもともとスキマ商品でしかなかったが、年を追うごとに増殖。今回のX2によって唯一の空席だった「2」も埋められて、Xシリーズはいよいよ“スキマのないスキマ商品?”となった。ただ、これだけスキマがなくなってくると、他社に対してだけでなく、自社内での差別化も必要となってくる。
X2もBMWのお約束どおり、骨格自体はひとつ下の奇数モデル(=「X1」)と共用するから、Xシリーズでは(X1とならんで)もっとも小さく手頃であり、兄貴分より客層が若くなるのが最初から必然である。しかし、実際のX2は、それ以上に若者を連呼する。
これが若者向けである根拠……というか覚悟として、X2がかかげる旗印が“デザインのルール破り”である。鼻先のキドニーグリルが下広がりの台形となるのはほぼ史上初であり、Cピラーにバッジを張りつける近年にない手法も“伝統と創造性の融合”だとか。
サイドウィンドウ後端を鋭利に折り返した形状にするBMW伝統のデザイン手法を「ホフマイスターキンク」と呼ぶが、BMW日本法人のプレスリリースによると、X2では“ホフマイスターキンクをCピラーに組み込むことで、ボディー後方まで窓の下部がせり立つラインを取り入れ、シャープで挑戦的なデザインへの拘りを表現”したのだという。
文字だけではよく分からないが、ホフマイスターキンクを、リアドアウィンドウより後ろの小さく黒い部分にギリギリまで凝縮しちゃいました……ということらしい。X2のサイドビューは、一見するとBMWの「ツーリング」とXシリーズのルールどおりの6ライト風だが、Cピラーにある最後端の窓っぽい部分は、実際にはただの黒い樹脂部品でしかない。
それはちょっと安っぽくもあるのだが、X2ではこうしたルール破りを逆に売りにしている。まあ、われわれ門外漢は「この程度で大騒ぎすることかよ!?」と思わなくもないが、ブランド品を組織で造形する商品デザインにあって、この種のルールをわずかでも改変することは大事件なのだろう。
それはそうと、もともと宿敵メルセデスなどより若々しいのが売りだったBMWですら、こうして“若者よ!”とさけばなければならないとは、これも時代なのか……。...