ポルシェにもできないことはある
350psの2.5リッターフラット4ターボエンジン搭載の「718ボクスターS」に試乗。パワーはもちろん、乗り心地もハンドリングも抜かりなしの718ボクスターSだが、ポルシェにだってできないことはある。それは……。箱根の山道を目指した。
もともとは1.1リッターだった
これまでに乗ったことがある一番古いポルシェは1953年型「356カブリオレ」である。ちょい乗り程度ではなく、オーナーと一緒にコッパ・デ・小海やジーロ・デ・軽井沢などのヒストリックラリーに何度か出場したことがある(もちろん自走だ)。エンジンは1.3リッターフラット4で40psちょっとのパワーしかないが、60年以上も前の車とは思えないほどビシッと走る。高速道路でも信州の山道でもコンディションの良いクラシック・ポルシェはまったく問題なく現代車に伍(ご)して走ることができるのだ。またイベントからの帰路、中央道や関越道で大渋滞に巻き込まれたことも何度かあるが、ちっとも不機嫌になることはなかった。ちなみに同年代の「フォルクスワーゲン・ビートル」でも同様のイベントに出場したことがある。こちらは1.1リッターでたったの25psながら、なかなか侮れない走りっぷりを見せるが、比べればやはりポルシェはベースとなったフォルクスワーゲンとは格が違う高性能車である。
そんな時代を考えれば、6気筒自然吸気(NA)から4気筒ターボエンジンに変更されたとはいっても、2リッターの「ボクスター」でも300ps、2.5リッターのボクスターSでは350psという、まさしくけた違いのパワーを生み出すのだから何の不足もないはずなのだが、数値だけでは納得してもらえないのが名門の宿命である。果たして4気筒ターボでもポルシェと言えるのか、と世間は喧(やかま)しい。もちろん、強化されるいっぽうのCO2排出規制に対応するための4気筒化であり、ターボ化であることは言うまでもないが、単なる燃費のためのダウンサイジングユニットと見られてはポルシェの沽券(こけん)にかかわるというもの。そのためにあらゆる手を尽くしたことがうかがえるのだ。...