新車で買えるヴィンテッジカー
1936年に誕生して以来、基本的な設計を変えずに現在も作り続けられている「モーガン4/4(フォーフォー)」。今なお職人の手作業によって製作される英国のスポーツカーには、80年前のクルマの息遣いが確かに宿っていた。
長嶋茂雄と同い年
モーガンに乗るのは、十数年ぶりだ。前回は、輸入元がモーガンオート・イワセに変わった直後だった。そして今回のモーガンは、新しいインポーターが入れたクルマである。ケータハムでおなじみのエスシーアイだ。長いこと個人商店的だった日本のモーガンビジネスを、もっと大きな“会社”が引き受けることになった。クルマよりもそれがいちばんのニュースである。
試乗したのは、主力モデルの4/4。1909年創業のモーガン・モーター・カンパニーは、オートバイの2気筒エンジンを搭載する前2輪、後ろ1輪の「3ホイーラー」からスタートした。最初の4輪モーガンである4/4は長嶋茂雄と同じ1936年生まれで、車名は「4輪の4気筒車」を意味している。パワートレインはアップデートしているが、ボディー/シャシーづくりの基本は登場以来、変わっていない。
鉄のハシゴ型フレームに載る2座オープンボディーは、随所に木を使う。ドア、サイドシル、フロントガラスの窓枠、リアタイヤを覆うフェンダーなど、外側はアルミでも、中身はアッシュ(トネリコ)。プロ野球のバットでおなじみの木だ。内装材を入れると、木製部品は50点に及ぶ。80年前、木は“軽量素材”だったのだ。
あいにくの雨。エスシーアイの地下駐車場にいた試乗車には、サイドスクリーンと幌(ほろ)が付けてあった。革の芳香がする低いコックピットに乗り込み、差し込んだキーをひねって始動する。ドアや給油口など、カギは別個に4つもある。キーリングに入っている小さな鉄の棒は、サイドスクリーン脱着用の専用工具である。...