ポルシェは永遠の憧れ
ポルシェが誇る、伝統の高性能スポーツモデル「911」。数あるラインナップの中でも、最もスペック的に穏やかな「カレラ」にはどのような魅力があるのか。7段MT仕様の試乗を通し、「ベーシック」の一言では語れないそのキャラクターに触れた。
“ダウン”じゃなくて“ライト”サイジング
いきなりで恐縮だが、これはまさにボクのためにあるようなクルマだ。 ポルシェ911で最もベーシックなグレードである「カレラ」に乗り、東京-御殿場間の高速道路と市街地を、飛ばすでもなく走りながら思った。これは、本当にクルマが好きで好きでたまらない人が乗るべき、極上のベーシックである。だがそこには、ある種の偏屈さもあっての“クルマ好き”というニュアンスも微量ながら含まれている。それがどういうことなのかは、これからお話ししていこう。
「911」の名を冠してから7世代目となる「タイプ991」。前モデルである「タイプ997」からの世代交代は2011年と6年も前の話であり、今回乗るカレラは、さらにこれを2015年にマイナーチェンジした後期モデル。「991 II」(キューキューイチ・ツー)と呼ばれたりもしている。 いまさら、登場から2年の月日がたったモデルをなぜ試乗するのか? 大変恐縮ではあるのだが、その答えを筆者は持っていない。なぜなら筆者は、以前にもこの“素カレラ”をwebCGでインプレッションしており、そこではたっぷりと思いの丈をぶつけているからである。 ただし前回とは異なり、今回の試乗車は“ライトハンダー”。トランスミッションが、よほどのエンスージアスト以外は選ばないだろう7段MTであるのは前回と同じだ。
911 IIで話題となるのはそのエンジンが、先代のタイプ997から受け継がれた水平対向6気筒の自然吸気ユニット(350ps)から、完全新設計の3リッター(正確には2981cc)ツインターボ(370ps)へと刷新されたこと。 ポルシェはこれをダウンサイジングならぬ「Rightsizing」と表し、当然ながらその性能を底上げした上で環境性能への対応を充実させてきたわけだが、ポルシェファナティックからすればそこには伝統の自然吸気ユニットをターボ化したことに対する危惧や不安があり、911を買えもしない筆者のような外野からすれば、これを酒のさかなにヤジを飛ばすことが、ひとつの気晴らしとなっているようである。
だがしかし、このエンジンは素晴らしい。...