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「資格を取ればキャリアアップする」は幻想――30代が見落とす“本当の勝ち筋”


「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師で、シンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸樹氏の最新刊『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』(ダイヤモンド社)は、新規事業の立案や自社の課題解決に役立つ戦略の立て方をわかりやすく解説する入門書。戦略とは何か。変化の時代に、企業は何を問い直すべきなのか。本連載では、さまざまな経営や組織の悩みについて坂田氏に話を聞きながら、同書の考え方を現在進行形の課題へと結びつけていく。

「資格さえ取れば」が
30代キャリアの思考停止を招く

――30代のビジネスパーソンが今後のキャリアアップを考えたとき、まず思いつく選択肢の一つが資格の取得だと思います。これは本当に有効なのでしょうか?

資格を取ること自体を否定するつもりはありません。ただ、「資格を取ればキャリアアップする」という思い込みは、かなり危険だと考えます。

理由はシンプルです。資格を持っていることと、成果を出せることはまったく別の話だからです。

資格は「できる可能性がある」ことを示すに過ぎず、「実際にやり遂げた」という証拠にはなりません。

新卒採用の場面では、実績がまだない分、学歴や資格が代替指標として機能することがあります。

しかし30代になると、市場が問うものは明確に変わります。「あなたが何を持っているか」ではなく、「あなたが何をやってきたか」です。

さらにもう一つ、見落とされがちな落とし穴があります。30代は時間の制約が大きく、勉強時間を捻出するだけでも難しい。それ自体が大きな投資になります。

その結果、「せっかく始めたのだから」と引き返せなくなる。いわゆるサンクコスト(埋没費用)の罠です。

本来は「この選択は正しいか」と問い直すべき場面でも、すでに投じたコストに引きずられて、「ここまで投資したから続ける」という判断に変わってしまう。この思考のズレが、キャリアの方向性を見誤らせます。

市場価値が上がる人の「共通した順番」

――では、30代が本当に取り組むべきことは何でしょうか?

実際にキャリアアップしている人を見ると、共通した順番があります。

成果を出す → 評価される → 人脈が広がる → 次の機会が来る

このサイクルです。

重要なのは、この流れが「できること(資格)」ではなく、「やったこと(成果)」を起点にしている点です。成果が評価を生み、評価が信頼を生み、その信頼が人脈を広げ、次の機会を引き寄せます。

もし資格の勉強に時間とエネルギーを使っている間に、この「成果→評価→人脈」のサイクルが止まっているとしたら、それは本末転倒です。キャリアは単なる積み上げではなく、「連鎖」で伸びていきます。

その連鎖を止めてしまう行動は、慎重に選ぶ必要があります。

ここで重要になるのが、キャリアを戦略として捉える視点です。

「道筋は整っていますか?」という問い

――キャリアを戦略として考えるとはどういうことでしょうか?

拙著『戦略のデザイン』で解説している通り、戦略を考えるうえで重要なのは、「この戦略を実現するための具体的な道筋は整っていますか?」という問いです。

キャリアに置き換えると、「資格を取る」はあくまで手段に過ぎません。問うべきは、「その資格が、自分の目指すキャリアへの道筋につながっているのか」です。

戦略の本質は、限られたリソースの中で「何をやるか」と同時に「何をやらないか」を決めることにあります。時間も労力も有限です。

資格の勉強に投じる100時間を、もし目の前の顧客の課題解決に使っていたらどうなるでしょうか。

この問いに、一度真剣に向き合ってみてください。選ばないことを決める勇気が、キャリアの「勝ち筋」をつくります。

道筋を描かずに資格を取るのは、目的地を決めずに地図を買うようなものです。

まず「自分はどこに向かっているのか」を問い直すことが重要です。その問いなしに、戦略的なキャリアは築けません。

30代は、行動量よりも方向性が問われる時期です。

何をするかではなく、なぜそれをするのか?

この問いを持ち続けることが、キャリアの分岐点になります。

――ありがとうございました。

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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