あのころの未来
BMWが擁するSUVタイプの電気自動車「iX」。そのハイパフォーマンスモデルが「iX M70 xDrive」へと進化を遂げた。かつて、BMWの志向する次世代モビリティーの体現者として登場した一台は、今どのようなクルマとなっているのか? その実力に触れた。
BMWが擁する技術のショーケース
BMWは幅広くBEVのラインアップをそろえており、その多くが、プラグインハイブリッド車(PHEV)を含むエンジン搭載車とプラットフォームを共有する。しかし、そのなかでもSUV系の最上位車種にあたるiXだけは、専用プラットフォームを採用する特別な存在だ。
そもそもは「iNEXT」という、ゼロエミッション化やAD/ADAS(自動運転/先進運転支援システム)の高度化、ネットワーク化などの将来を見据えたプロジェクトがあり、それを具現したのが2018年に公開されたコンセプトカー「ビジョンiNEXT」だった。これが2021年には、iXという車名で市販化される(参照)。当時の革新技術が先行して盛り込まれており、それを他のモデルへ波及させていく役割を担っていた。要はiXは、技術領域におけるBMWのショーケース的なモデルでもあったのだ。
2025年9月には、一部改良を受けた最新のiXが日本に導入される(参照)。デザインはさらに洗練され、ラインナップは「iX xDrive60」と「iX M70 xDrive」の2種類に。前者は、BMWのBEVでは最長となる723kmの一充電走行距離を実現。いっぽう後者は、システムトータルの最大トルクが1015N・m(ローンチコントロール作動時は1100N・m)とBMW最強のスペックを誇り、0-100km/h加速3.8秒を実現する「Mパフォーマンスモデル」となっている。
今回試乗したのは、そのiX M70 xDriveだ。従来モデルの「M60」と比較すると、前後モーターの最高出力はそのままに、システムトータルでの最高出力が619PS(455kW)から659PS(485kW)に引き上げられている。
また標準モデルのiX xDrive60と比べると、そちらのフロントモーターが最高出力258PS(190kW)、リアモーターが同313PS(230kW)を発生するのに対し、iX M70 xDriveはフロントが同一でリアモーターが489PS(360kW)と、リアの駆動力を重視したスペックなのがわかる。...