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【リーダーシップ集中講義:第2回】子どもたちを引き連れた「ハーメルンの笛吹き男」はカリスマリーダーか?


リーダーに求められる役割の一つに、「人を動かすこと」が挙げられます。しかし、「人をうまく動かす=優れたリーダーシップ」と言えるのでしょうか。神戸大学大学院教授で経営組織論、組織行動論を専門とする鈴木竜太氏が、経営学の知見をベースに、リーダーシップとは何かを解説します。第2回はリーダーシップの特徴とは何か考えます。本記事は、書籍『リーダーシップの科学』の第1章を一部抜粋・編集したものです。

リーダーシップの3つの特徴

前回は、リーダーシップの研究のなかで一般的ともいえるリーダーシップの定義について述べた。

この定義をもとに考えると、リーダーシップの特徴が3つ見えてくる。

1つ目に、リーダーシップには影響を与える他者が必要で、リーダーシップは他者との間に生まれるという特徴である。

一般に、リーダーシップを及ぼす他者のことをフォロワーと呼び、フォロワーがいなければリーダーシップを振るうことはできない。当たり前のように聞こえるかもしれないが、リーダーシップとは、リーダーシップを振るう側に発生するわけではなく、(リーダー側からの働きかけで生じることがほとんどだが)リーダーとフォロワーの間で発生すると考える。

2つ目に、この関係性から言えば、最初にリーダーとフォロワーが規定され、両者の間にリーダーシップが発生するわけではない。リーダーシップが発生した時、そこで初めて(そのリーダーシップに関して)リーダーとフォロワーが発生することを意味する。見方を変えれば、リーダーシップを発揮する主体=組織や集団の公式のリーダーとは限らないと考えることもできる。

3つ目に、リーダーシップは共有された目標を達成するために行使される。言い換えれば、リーダー本人のみの自己利益のために振るわれるものは、リーダーシップとは呼ばない。そのため、フォロワーとの間で目標が共有されていない場合、そこにリーダーシップ(と呼ばれるもの)は発生しない。

ハーメルンの笛吹き男は「カリスマリーダー」か

童話『ハーメルンの笛吹き男』を思い起こしていただきたい。ハーメルンの街にネズミが大量発生し、困っていたところに、笛吹き男が現れた。男が笛を吹くと、町中のネズミが彼のもとに集まり、男はネズミを川へと引き連れ、ネズミを溺れさせて退治した。

しかし、ネズミを退治したにもかかわらず、約束の報酬が支払われなかったことに怒った男は、今度は笛を吹いて、子供たちを引き連れていった。子供たちは連れられて行くが、どこに連れて行かれるかはわかっていない。

フォロワーである子供たちが笛吹き男の笛に影響を受けていることは確かだ。だが、子供たちと目標を共有していないとすれば、それはリーダーシップではないということだ。

共通の目標が不可欠である

改めて定義から見える特徴は、

@リーダーシップはリーダーとフォロワーの間で発生するものである
Aリーダーシップが発生することでリーダーとフォロワーが決まる
Bリーダーシップはリーダーとフォロワーの間に共有された目標が必要である

という3つである。

リーダーシップがフォロワーとの間に生まれるものであるとするならば、リーダーシップの源泉はリーダーの側だけにあるとは限らない。

また、公式のリーダー(つまりはリーダー役の人物)であれば、リーダーシップを自動的に取得しているわけでもない。公式的にはフォロワー的な役割の人が、リーダーシップを発揮することもあり、その場合にはフォロワー役であった人がリーダーとなる。その意味ではリーダーとフォロワーの関係はその場によって決まる。

そして、リーダーシップは共有した目標の達成のために使われるものであり、そうでない関係性のものはリーダーシップとは呼ばない。リーダーとフォロワーの間には共通の目標があり、そこに向かうために振るわれるのがリーダーシップである。

(本記事は、書籍『リーダーシップの科学』の第1章を一部抜粋・編集したものです)

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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