時代がミツオカに追いついた
「ミツオカM55」を目の前にすると気持ちが高ぶるのはなぜだろうか。それはミツオカのオリジナルデザインが、1970年代、すなわち世の中がエネルギーに満ちあふれていた高度成長期の空気を感じさせるからだ。初年度限定モデル「ゼロエディション」の仕上がりをリポートする。
デザインモチーフはなんだ?
このクルマが初公開された2023年は、ミツオカにとって創業55周年にあたる年だった。ミツオカの“M”と“55”周年を組み合わせた車名のとおり、M55はその記念モデルとなる。
ミツオカによると、M55は「1968年創業のミツオカと同じく、55年の人生(発表当時)を歩んだ同世代の方々がメインターゲット」なんだとか。そんなM55のモチーフは1970年代のGTだそうである。「(メインターゲット層が)子供のころに憧れたクルマはアメリカ文化の影響を受けているものが多く、当時の夢と希望の象徴だったGTカーをつくりたい」との思いが、企画のキッカケだったという。
そういわれると、M55は往年のアメリカンマッスルカーというか、それに多大な影響を受けた1970年代の国産GTを想起させる。ドンピシャ1968年生まれの筆者にとって、こうしたクルマは近所や親せきの“とっぽい”お兄ちゃんやお姉ちゃんが乗っていたイメージだ。
いつものミツオカの例にもれず、M55でも特定のモデル車はない……というのが公式見解だ。となると、おのずと犯人探しならぬ、モトネタ探しで盛り上がるのが、いつものミツオカである。筆者の11コ下である編集部藤沢君は「ケンメリでしょ?」という。それは当時のTVCFから“ケンとメリーの〜”と呼ばれた4代目「スカイライン」のことだ。その発売は1972年。
丸目4灯ヘッドライトと2分割風グリルは、なるほどケンメリっぽくもあるが、丸みを帯びたアゴのラインから、筆者の脳裏には1973年発売の初代「バイオレット」の影がちらついてはなれない。また、ケンメリのテールは、その後のスカイラインの代名詞となる丸型4灯だが、M55はちがう。M55のリアウィンドウから楕円テールにかけた造形には、筆者は1974年発売の「チェリーF-IIクーペ」が見える。
まあ、M55がなにに見えるかは人それぞれなのだが、ひとつだけ確かなのは、この時代の日産はとても輝いていたということだ(涙)。...