靴のサイズにご用心
フォルクスワーゲンが擁する伝統のホットハッチ「ゴルフGTI」。高い機能性と刺激的な走りを併せ持つスポーツコンパクトは、このたびの大幅改良でいかな進化を遂げたのか? その走りを、オプションの19インチホイール&可変ダンパー装着車で確かめた。
大人のGTIが帰ってきた
第8世代のゴルフGTIを初めて走らせたとき、そのハードな乗り味にはかなり驚いた。第7世代のゴルフGTIはハンドリングこそ徹頭徹尾安定志向のカタブツだったけれど、ゴルフ一族のなかでも一番といっていいぐらい完成された、上質な乗り味を備えていたからだ。 その理由がなんなのかは、はっきりとはわからない。考え得る要因はふたつあって、ひとつは試乗車が19インチのオプションタイヤを履いていたこと。ゴルフは“8型”(第8世代)からそのモジュラープラットフォームを「MQB evo」へと進化させ、ねじり剛性も35%ほど向上させたというが、個人的にはこの骨格に対して、19インチのスポーツタイヤはオーバースペックだと感じた。かといって18インチ仕様を試すことはかなわなかったのだけれど。
もうひとつは、ゴルフが8型となって、大幅なコストダウンを強いられたのではないか? ということだ。GTIに限らず、通常のモデルに乗っても8型のゴルフはNVH(ノイズ・ハーシュネス・バイブレーション)性能が思った以上に低かった。ユーザーインターフェイスのデジタル化やエンジンのマイルドハイブリッド化にコストが割かれた結果、静粛性や振動減衰まで手が回らなかったのではないかと思う。折しも環境性能を向上させるべく、その足元には転がり抵抗が少ない硬めのタイヤを履きだした。それによる路面からの入力や振動を、ハイテンションスチールを多用するボディーがダイレクトに乗員に伝えてしまったのかもしれない。
そしてこのたび8.5型となった(参照)ゴルフGTIを試したわけだが、街なかでひと転がししたその乗り味は、以前とはまったく変わっていた。まるでチューニングカーのようだった厳しい突き上げと雑な振動がなくなり、大人っぽいゴルフGTIが帰ってきた。...