スケールがデカすぎる
アメリカンモーターサイクルの名門、インディアンが、自慢の水冷Vツインエンジンをさらに排気量アップ! 新エンジンを得たビッグクルーザー「チーフテン パワープラス」の豪快な走りを、米ラスベガスからリポートする。
これほどまでの大トルクが必要とされる理由
世界的な潮流なぞ意にも介さず、いまもマッチョなエンジン競争にいそしむアメリカのモーターサイクル。1901年からの歴史を誇るインディアンも、フラッグシップモデルに搭載する挟角60°の水冷V型2気筒エンジン「Powerplus(パワープラス)」をバージョンアップ。ボアを2mm広げて、排気量を112ci(1834cc)に拡大した。そして、それまでパワープラスを搭載していた「チャレンジャー」やプラットフォームを共有する「パースート」、加えて2025年モデルのチーフテンと「ロードマスター」にこの「パワープラス112」を搭載(参照)し、その動力源をアップデートしたのだ。
これらのモデルはじつに先進的なクルーザーだ。その心臓部であるパワープラスエンジンは、水冷化によって高出力&大トルクを実現している。かの地では、巨体を翻してワインディングロードやサーキットでスポーツライディングに興じるため、あるいは極端に短い助走区間で高速道路に合流するため、あるいは大きく重い荷物とパッセンジャーを乗せて長距離を淡々と走るために、強力なパワーと分厚いトルクが必要なのだ。
このアメリカンクルーザーに不可欠なトルクの発生には、ロングストローク化が必須だといわれていた。しかしパワープラスエンジンは、ビッグボア/ショートストロークだ。しかも新しくなったパワープラス112エンジンはボアを広げたことで、ボアストローク比ではさらにショートストローク化が進行したことになる(ボア×ストローク=110×96.5mm)。
そのことについてエンジニアに話を振ると、「それは迷信のようなモノだ」という答えが返ってきた。V8エンジンを積む最新のアメリカンマッスルカーを見てもわかるとおり、ビッグボア/ショートストロークのエンジンでも強大なトルクを発生することはできる。パワープラスエンジンは水冷化によってあらゆる効率が高まり、高出力&大トルクが可能になっただけでなく、その出力およびトルクの調律も容易になった。パワープラス112はボアのみを拡大して、その他の主要エンジンパーツはパワープラスから引き継いでいるが、このメニューは「King of the Baggers」レースの現場で、仕様の異なるあらゆるパーツを試した帰結なのだ。そしてそれにより、「イメージしたとおりのパワーとトルクを得ることができた」と。...