機を見るに敏であれ
アウディの基幹車種「A4」がフルモデルチェンジ。「A5」の名が与えられた新型は最新のプラットフォームに最新のパワートレインを搭載するほか、電子プラットフォームや内装も一新されている。3リッターV6ターボ搭載の高性能版「S5アバント」の仕上がりをリポートする。
柔軟な方針転換
四書五経の『易経』から引いた「君子は豹変(ひょうへん)す」は本来ネガティブな意味ではなく、過ちと知れば即座に改めることを言う。『易経』では「小人は面を革(あらた)む(小人はただ外面だけを改めるにすぎない)」と続くのだ。変化の激しいこの時代、一度口に出したら必ずそれを実行しなければならないと求めるのはちょっと酷というか現実的ではない。ビジネスでは臨機応変、機を見るに敏のほうが重視されるものである。
2024年7月に本国発表されたA5は、これまでのA4とA5シリーズを統合した新型モデルである。ちょっと復習しておくと、A4はそれまでの「80」の後継モデルとして1994年に登場したアウディの基幹車種であり、2007年には派生モデルとしてA5が追加され、「クーペ」と「カブリオレ」、5ドアハッチバックの「スポーツバック」まで幅広いラインナップをそろえていた。それらをすべてまとめた新型A5は、テールゲートを持つセダンとステーションワゴンのアバントのみ。社内呼称コードはB10というから、30年余り前の初代A4から数えて6世代目にあたる。
ご存じのようにちょっと前までアウディは、奇数はガソリン車、偶数ナンバーは電気自動車(BEV)に割り当てられると発表していたのだが、2026年以降の新型車はすべてBEVにするとした方針とともにすでに撤回されたようだ。当たり前のことだが、顧客がついてこなければ、どんな目標を掲げようと意味がない。売れないクルマを無理につくっていてはたちまち経営が傾くのは自明の理。グループを挙げてコストカットを迫られている今、以前の発言にこだわっている場合ではない。...