俺も悪いけどお前も悪い
992.2世代へと進化した「ポルシェ911」だが、ファンにとっての最大関心事はついにハイブリッド化された「カレラGTS」に違いない。電気の力を手にした3.6リッター水平対向6気筒ターボユニットは、ワインディングロードでどのような振る舞いを見せるのだろうか。
普段はやらないマニュアル変速
確か、ホッケンハイムのサーキットを会場に開催された991型のワークショップのときだったと思う。「911カレラ」に搭載される水平対向6気筒にターボが標準装着された、新しいパワートレインに関する勉強会のあと、テストドライバーが運転する991に同乗するプログラムが用意されていた。その華麗なドライビングスキルにほれぼれしたのだけれど、気がつくと彼はPDKをずっと「D」に入れたままで、パドルを使ったマニュアル操作をしていなかった。
サーキットを走るのにMTモードを使わないことを意外に思って、彼にその理由を尋ねてみると「サーキットはPDKのほうが速く完璧に走れるんだよ。自分なんかよりPDKのほうがずっとうまい(笑)」とサムアップした。そういうことをすぐにうのみにする自分は以来、PDKの911をドライブするときは基本的にいつも「D」に入れたままだったし、実際PDKの変速タイミングや選択されるギア段はいつも完璧で、そこからわざわざ自分でマニュアル変速してみようという気にはならなかったのである。
ところが“992.2”と呼ばれる最新型の911のカレラGTSを伊豆スカイラインで運転していたら、無性にパドルをイジりたくなった。例によってPDKの所作は完璧だったので、そこに不満があったからではない。走れば走るほどに、ついに電動化された水平対向6気筒のポテンシャルをもっともっと味わってみたいという感情がジワジワと込み上げてきた。マイルドハイブリッド化されたそれは、自分の想像とは大きくかけ離れた表情を見せてくれたからだった。...