やっぱり素晴らしい
フェラーリの新たなフラッグシップモデル「12(ドーディチ)チリンドリ」には、オープントップの「スパイダー」も用意される。フェラーリ自ら「ひと握りの人のためにつくった」という、その走りは? クーペとの違いも含め報告する。
これこそが“核心”
12チリンドリはブランドのステートメントカーである。ロードカーラインナップの要であるばかりか、ブランドのあり方を最もよく体現するモデルとして仕立て上げた、という意味だ。F1マシンと双璧をなす存在である。
2024年春にマイアミにて公式デビュー。秋にはベルリネッタ(クーぺ)の国際試乗会がルクセンブルクで催された。明けて今年、日本はまだ厳寒という2月に今度はスパイダーのテストドライブをポルトガルで開催するという。この時期の北イタリアはスパイダー向きの季節とはいえず、そのうえウインタータイヤ規制がかかっている。それゆえ風光明媚(めいび)で暖かいポルトガルが選ばれたわけだが、それにしてもこれほど“グローバル”にローンチイベントを展開した跳ね馬もまた、ほかにない。グローバルスポーツカー界のセンターをも狙っているということか。
それはさておき、マラネッロ産ロードカーの核心に12チリンドリがあるという彼らの主張には100%の賛同しかない。何といってもエンツォ・フェラーリは会社設立の1年前、1946年にはすでに新たなV12エンジン(ジョアッキーノ・コロンボ作)の開発に成功しており、翌年の本格始動からしばらくはV12+FRのレーシングカーとロードカーのみをつくり続けてきたのだから。“フェラーリ”という馬の心臓には12個のシリンダーがある。だからこそアメリカで支持され、後に世界的なブランドになった。販売の主力をV8に譲って、はや半世紀。それでもV12は跳ね馬ロードカーの核心なのだ。
12チリンドリ スパイダーには、クーペと同様に、「812コンペティツィオーネ」用のF140HB型に改良を加えたF140HD型V12が完全フロントミドに積まれており、リアに置いた(=トランスアクスル)8段DCTと組み合わされた。Vバンク角65度に排気量6.5リッター、最高出力830PSという数値こそそのまま受け継いだが、最高許容回転数を9250rpmから9500rpmにまで引き上げている。排ガス規制にも対応すべく最大トルクは678N・mと少し落としてきたが、低回転域におけるトルク特性を見直したうえ、「アスピレーテッド・トルク・シェイピング(ATS)」という秘密兵器を採用することで、落としたトルク数値などまるで気にならなかったことはすでにクーペの試乗で確認済みだ。...