本家の手になるネオレトロ
軽二輪の気軽さと、クラシックな装いが魅力の「カワサキ・メグロS1」。日本のバイク史を彩る名門の名を冠した一台は、それに恥じぬ仕上がりとなっているのか? “メグロ”のブランドを今日に受け継ぐ本家カワサキが世に問うた、レトロスポーツの魅力に触れた。
徹底的に懐古調
撮影場所に向かうため、夜明け前にメグロ S1のシートにまたがってキーをひねると……オオッ! ヘッドライトが明るい!! 「オーセンティックなレトロスタイル」を標榜(ひょうぼう)する古典的な姿ながら、なるほど中身は令和のニューモデル。丸型ヘッドランプにはLEDがおごられている。暗い夜道では素直にありがたい。
メグロS1は、「K3」に続く新生メグロの第2弾。2024年11月に、姉妹モデル「W230」とともにリリースされた(参照)。いずれもセミダブルクレードルのフレームに、「KLX230」由来の232cc空冷単気筒を搭載。6段のギアボックスが組み合わされる。価格は、W230が64万3500円、ぜいたくな外装のS1は7万7000円高の72万0500円。両者に機関面の違いはない。
正直に言いましょう。初めてS1の実車を前にした感想は、「うーむ、オッサンくさい」。「お前に言われる筋合いはない」とS1も思っているだろうが、それはともかく、かつての「カワサキ250メグロSG」に範を取ったとするエクステリアは懐古調が徹底している。
ダブルショックのリアサスペンションに、前18/後ろ17インチの大径ワイヤーホイール。惜しげもなく使われたメッキパーツ。ステンレススチールのエキゾーストパイプとサイレンサーは、バフがけされて光り輝く。凝りに凝ったメグロの立体エンブレムやW230との差別化を図ったレトロな2連メーターと、細部まで手抜きがない。さらにエンジンの冷却フィンまで違和感ないようカタチを整えたとのこと。脱帽でございます。
注意深く観察するなら、前述のLEDヘッドランプとリアのディスクブレーキが、わずかに令和を感じさせる部分かもしれない(言うまでもなくブレーキはABS付きだ)。
さすがに最初期の「エストレヤ」で懲りたか、シートはセパレートではなく前後一体のロングタイプだが、クッションには丁寧なパイピングが施される。シート高は740mmと、足の長さに不満を持つライダー(←ワタシです)にも優しい。
ライディングポジションは想像どおり上体を起こしたアップライトなもの。浅学にして本来のクラシックバイクの乗車姿勢は存じませんが、“気持ち的には”胸を張って背筋を伸ばして乗りたい。ただ、ヒップポイントとステップ位置が近いせいか、ヒザは思ったより強めに折ることになる。大柄だったり足の長さをもてあましたりするような御仁は、やや窮屈かもしれない。...