隙なく 品よく 育ちよく
初の大幅アップデートを受けたアウディのフラッグシップSUV「Q8」のディーゼルモデルに試乗。最新世代のデザインランゲージや快適装備を採用し磨きをかけた内外装と、アウディ自慢の4WDシステム「クワトロ」が織りなす走りを確かめた。
まるでお寺の本堂にいるかのよう
2024年の秋にマイナーチェンジを受けたアウディQ8の試乗車を受け取ったのは師走の夕方で、空は暗くて、風は冷たくて、おまけに都心の道路はゴミゴミと混み合っていて、ドライバーのイライラが乗り移ったかのようなクラクションのせいでこちらまですさんだ気持ちになってしまう。
そんな最悪のコンディションで「Q8 50 TDIクワトロSライン」のステアリングホイールを握っていると、すーっと穏やかな心持ちになった。そんなことってあるのか? いや、ホントにあったんです。
いつもだったら2分で通過できる交差点を10倍以上の時間をかけてノロノロと進みながら、このクルマの鎮静効果がどこからきているのかについて考える。
まず、あたりまえではあるけれど、着座位置が高いSUVなので、見晴らしがいい。「ゲレンデ」や「レンジローバー」、それに「ランクル」など、都内でデカいSUVを頻繁に見かける理由を肌で理解する。
もうひとつ、色使いも造形もシンプルなのに、それでいながら上質さを伝えるインテリアのおかげで気分が落ち着くことにも思い至る。“盛る”のではなく、削(そ)ぎ落とすことで高級感を表現するインテリアのデザイン手法は、気分を高揚させるのではなく、乗員の気持ちを穏やかにすることで、豊かな時間を提供している。
アウディQ8はドイツのインゴルシュタットからやって来た高級車であるけれど、日本のお寺の本堂にいるかのような静穏な気持ちになる。...