文化を紡ぐということ
「トヨタGR86」のマイナーチェンジモデルに試乗。従来型からの変更点はわずかなものの、われわれにはその仕上がりを試し、世の自動車好きに伝えるという責務がある。それは今や希少なFRスポーツカーを守るためであり、皆で紡いでこそ文化と呼べると考えるからだ。
目新しさよりも本質を追求
2024年の夏に改良が施されたGR86と対面。とはいっても、デザインに大きな変更はなく、外観で分かるのはデイタイムランニングランプが追加されたことだけ。じゃあインテリアに大きな変化があるのかというと、そういうわけでもなく、メーターパネルにタイヤ空気圧警報システムが追加されたことが唯一の変更点。内外装ともに、実効のある改良だ。
つまり、牛丼にトッピングを施すことで目新しさをアピールするマイナーチェンジではなく、牛丼の味そのものにこだわったマイチェンだと推察した。
2.4リッター水平対向4気筒エンジンはシュンと目覚め、粛々とアイドリングを開始する。シフトレバーは、東西南北どの方向に動かしてもコキコキという節度と、スッと吸い込まれるスムーズさが絶妙にバランスしていて、細部までしっかりチューニングされていることが伝わってくる。
クラッチペダルも同様で、すこぶるスムーズ。踏み応えがあると感じる反力と、重すぎると感じる反力の中間のほどよいバランスで、やはりスポーツカーやスポーツドライビングを愛する人が丁寧にセッティングしていることが伝わってくる。
クラッチのミートポイントもいいあんばいに分かりやすく、アクセルペダルに触れることなく、アイドル回転の状態でスムーズに発進した。ところが──。...