2親等の傍系親族
「フィアット600e」は愛らしいスタイリングで人気を集めるかもしれないが、多くのブランドを抱えるステランティスグループならではのジレンマがそこかしこに感じられる。デザインはまぎれもなくフィアット、ではそれ以外の個性をどこに見いだせばいいのだろうか。
似ていても「500e」とはまるで別物
フィアット初のBEVとして2022年に登場した「500e」は、シティーコミューターに徹して航続距離を割り切り、代わりにファンな要素を強くアピールすることで、BEV時代にもフィアットは「らしさ」を絶やさないぞと宣言するかのようなクルマだった。バッテリー容量を競うあまり大きく重いクルマばかりになっている世の多くのBEVに対して、コンパクトカーづくりの名手のプライドを見せつけたインパクトは大きかったし、実際にクルマは愛らしく、とても楽しいものに仕上がっていたと思う。
そんな500eに続いて登場した600eは、より幅広いユーザーに訴求して、本格的なBEVの拡販を目指したモデルである。堅実なパッケージング、十分な航続距離を確保するのが最優先。結果として車体の基本骨格は500eとは別物で、ステランティスグループの「eCMP」プラットフォームが採用されている。
実は最近、それを使った別のモデルを試したばかりだ。そう、「ジープ・アベンジャー」である。他にも「プジョーe-2008」や「シトロエンe-C4」なども、同じ基本骨格を用いている。よって焦点となるのは、そこにいかにフィアットらしいエッセンスが加えられているかということになる。
外形寸法は全長×全幅×全高=4200×1780×1595mmで、特に全長は500eよりも570mmも長い。しかも、キャビンをあまり絞り込まないツーボックスフォルムに、215/55R18という大径のタイヤを組み合わせるせいか、遠目にはともかく間近で見ると、500eあるいは実質的に入れ替わりとなる「500X」と比べると結構大きいというかゴツい印象を受ける。...