もつれゆく戦況
「ホンダN-BOXジョイ」と新型「スズキ・スペーシア ギア」の比較試乗記の後編。試乗車を価格でそろえたところ、前者は自然吸気、後者はターボとなったのが興味深いところだ。果たして走りの満足度ではどちらに軍配が上がるのだろうか。
まったりと過ごしたいN-BOXジョイ
(前編からの続き)
N-BOXジョイの最大の特徴はいうまでもなく、クラストップの広い空間に、タータンチェックのはっ水ファブリックを張り込んだ荷室だ。後席を倒すだけで、ちょっと上質なレジャーシートを敷き詰めたかような雰囲気である。前席はわずかに前傾した角度で止めることもできるので、フロントのシートバック裏に寄りかかり、足を伸ばすとちょうどいい。
気持ちのいい気候の日に好きな場所に駐車して、リアゲートを開け放して、まったりと過ごす……のがジョイ本来の使いかたなのだろう。シートバックと荷室フロアにはあくまでファブリックが張られているだけで、クッション性のある素材が追加されているわけではないのだが、座ったり寝転んだりして数時間過ごすには、十分に心地よい肌ざわりである。
ジョイの荷室が数時間程度の滞在に割り切っているのは、そこは車中泊には物足りない空間だからだ。後席を倒したときの荷室長は150cm強なので、平均的な成人男性が縦に寝転ぶことはできない。ひとりなら斜めに寝ることは不可能ではないが、そこで一夜を明かすのはあまり現実的ではない。
ところで、最新のN-BOXに対するネットなどでの反応を観察していると「先代よりインテリアの質感が低下した、安っぽくなった」といった評価をときおり見かける。全体に低くフラットでシンプルなデザインのダッシュボードは、小高く存在感のあった先代のそれより、もしかしたら貧相に感じる向きもあるのかもしれない。
ただ、実際のダッシュボードの樹脂シボなどは、先代よりツヤが抑えられた素材感は明らかに高級である。また、助手席前のトレイに使われている素焼き風の素材も普通の樹脂よりはコストが高そうだ。全面液晶化されたメーターパネルは「フィット」などとの共有部品だとしても、今なおアナログよりはコスト高だという。...