物理の壁を越えろ
BMWのスポーツセダン「M5」がフルモデルチェンジ。プラグインハイブリッド化によって手にしたのは、最高出力727PS、最大トルク1000N・mというとんでもないスペックだ。日本でのデリバリー開始を前に、BMWの本拠地ミュンヘン周辺で仕上がりを試した。
新型はセダンとワゴンの二本立て
BMWのモータースポーツ部門を担うMが開発した「M1」は、BMWの歴史のなかでいい意味での異端としてクルマ好きの記憶に強く刻まれている。この縦置きミドシップパッケージ用に開発された3.5リッター直6のM88型をベースとするユニットを時のE28系「5シリーズ」のノーズへと収め、シャシーチューニングを施したのが1985年に登場した初代M5の成り立ちだ。Mにとっては市販車をベースに自らの名を冠するつくり込みを加えた初めてのモデルとなる。歴史的にはスポーツセダンというカテゴリーを振り返るに欠くことのできない一台ともいえるだろう。
それからほぼ40年の時がたち、MはBMW Mとして吸収され、モータースポーツや市販車との関係はより深いものとなっている。そしてM5もこのG99系が数えること実に7代目だ。途切れることなく続いてきたモデル群のなかにはBMWでいうところの「ツーリング」、すなわちワゴンボディーのバリエーションもあったが、今回はE60系以来のツーリング復活に加えて、日本市場には初の正規導入というニュースもある。
パワートレインはM5の革新のハイライトだ。V8ツインターボに駆動用モーターを加えたプラグインハイブリッド車(PHEV)……といえば思い出されるのはM1に次いでMが手がけたフルオリジナルモデルの「XM」だが、察しのとおり、M5が搭載するパワートレインのベースはXMのそれとなる。S68型4.4リッターツインスクロール・ツインターボのアウトプットは最高出力585PS/最大トルク750N・m。そこに加わるのが197PS/280N・mの駆動用モーターだ。このモーターには発生トルクを高めるプリギアリングが加えられており、小型ながらも一時的には450N・mのトルクを発生する。これはBMWの特許技術で、すでにXMのほか、5シリーズのPHEV(日本未導入)などにも採用されている。...