至高の万能ツアラー
ドゥカティのアドベンチャーツアラー「ムルティストラーダV4」シリーズが、2025年モデルで大幅改良! より高度な電子制御を得たイタリアの万能マシンは、いかなる進化を遂げたのか? 本国で催された国際試乗会より、ケニー佐川がリポートする。
クラスの頂点を見据えて全方位的に進化
ドゥカティ・ムルティストラーダは、イタリア語で「すべての道(Multistrada)」という意の車名を冠する文字どおりの万能マシンである。ジャンルとしてはアドベンチャーツアラーに属するが、砂漠やガレ場を突っ走る走破性を前面に打ち出すライバルに対し、ムルティはオンロードでのスポーツ性能を重視し、快適に距離を伸ばせる方向へとベクトルを向けたモデルといえる。
最初のムルティストラーダである「ムルティストラーダ1000」のデビューは2003年のことで、2010年にはスポーツ、ツーリング、アーバン、オフロードの4つのカテゴリーの特徴を併せ持つ、「4バイクス・イン・ワン」のコンセプトを掲げた「ムルティストラーダ1200」が登場。2021年には従来のV型2気筒からV型4気筒となったエンジンを筆頭に、すべてを刷新した「ムルティストラーダV4」がその後を継いだ(参照)。今回の最新版もまた、クラスの頂点を見据えてさらなる全方位的進化を遂げている。
一見すると大きく変わった感じはしないが、よく見るとフロントカウルはエッジが効いたデザインになり、ホイールやエキゾーストの形状も変わっている。クラス最強の最高出力170PSを誇るエンジン「V4グランツーリスモ」は、従来モデルから踏襲するが、シリンダー休止機構を改良することで、停車時に加えて低負荷走行時にも後方バンクの2気筒を停止させての低燃費走行が可能になった。また車体の側では、スイングアームピボットの位置を1mmアップして、加速時のトラクション性能を向上。電子制御も進化しており、停止直前にリアサスペンションのプリロードを抜くことで車高を自動的に下げる機能のほか、ライディングモードに新たに「ウエット」を加えるなど、より安全に、快適に距離を伸ばせる方向へとスタンスを広げている。...