プロのツールはひと味ちがう
“日本の働く現場”を支える軽商用バンの電気自動車「ホンダN-VAN e:」に試乗。配送業や設置・施工業から移動販売に至るまで、その使われ方を徹底的にリサーチし開発をおこなったという走りと機能性、そしてこだわりの付加価値をチェックした。
広さや使い勝手は「N-VAN」とほぼ同じ
クルマのカーボンニュートラルにおいて、乗用車のBEV化にはいまだ賛否両論あるが、軽商用バンのBEV化に否定的な人はほぼいない。個宅配送などに使われる軽商用バンこそ、うまく運用すれば、BEVのほうがメリットが大きそうだからだ。実際、日本郵便やヤマト運輸はすでに「三菱ミニキャブEV」を導入しているし、佐川急便も共同開発に参画した「ASF2.0」の大量導入を進める。
そんな軽商用BEVについては、供給側も本格的に動き出している。日産は三菱からのOEMである「クリッパーEV」をこの2024年2月に発売し、ホンダもこうしてN-VAN e:の発売にこぎつけた。ただ、当初は2023年度内の発売をかかげていたトヨタ、スズキ、ダイハツによる共同開発車だけは、生産担当予定だったダイハツの認証不正問題によって、発売そのものから不透明になってしまっているが……。
というわけで、ホンダの軽商用BEVは、その外観と商品名のとおり、ガソリンエンジンを搭載する「N-VAN」の車体をそのまま活用している。N-VANといえば、助手席と後席を床下に収納した広大な空間を売りにするが、「そのメリットをいっさい犠牲にしない」のが、N-VAN e:最大の開発テーマだったという。実際、この4人乗りのN-VAN e:の荷室空間は、諸元表の細かな数値に多少のズレはあるものの、実質的な広さや使い勝手はエンジン仕様のN-VANとなんら変わりない。
N-VANじたいのプラットフォームは先代「N-BOX」から受け継がれている。同プラットフォームは将来的なハイブリッド化こそ意識していたものの、完全なBEV化は想定外だったとか。にもかかわらず、ミニキャブEVや「日産サクラ」の1.5倍となる30kWhのリチウムイオン電池を床下に搭載しながら、超低床や左側ピラーレスといった自慢のパッケージレイアウトをまったく変えずに済ませているのは、見事というほかない。...