レーストラックはキャンバスだ
「マクラーレン・アルトゥーラ スパイダー」のルーフはあっという間に開いて瞬く間に閉まる。つまりいつでもどこでも700PSの最高出力とオープンエアドライビングが楽しめる。東京を離れて西を目指したのは、ある晴れた日のことだった。
離陸するかもという加速感
夜明け前のひんやりした空気のなか、前日、webCG編集部から引き取ってきたマクラーレン・アルトゥーラ スパイダーに乗り込む。筆者の自宅がある東京はるか郊外の住宅地はまだひっそりとしている。みなさん、まだ寝ているのだ。たぶん。そんななかで、マクラーレンの特徴的な跳ね上げ式のドアに手を伸ばす。ドアはノブにタッチするだけでスーッと持ち上がる。低い着座位置にもかかわらず、乗降性がよいのは、このドアのおかげに違いない。からだの出し入れがしやすい。敷居が低めなことも乗降性をおもんぱかってのことだろう。
薄暗がりのなか、センターコンソールの、朱色の丸いスターターを押す。電動モードが標準ゆえ、エンジンは始動しない。その代わり、ムウゥゥゥ〜ンッという電気的なうなり音が聞こえ始める。右足を伸ばした先にブレーキのペダルがある。右足の踏力を緩めると、アルトゥーラはゆっくり動き始める。ステアリングとペダルは適度に重い。
駐車場を出て、しばらく走る。一般道はめちゃんこすいている。アクセルペダルを軽く踏み込む。ヒイイイイイイッという、ジェット戦闘機とかSF映画の宇宙船とかが発しそうな高周波音をとどろかせ、アルトゥーラは空を飛んじゃいそうな勢いで加速する。モーターの最高出力は95PS、最大トルクは225N・mと、ガソリンエンジンでいえば2リッター4気筒程度の数字だけれど、いきなり大トルクを生み出すモーターの初期加速は内燃機関とは質が異なる。おまけにアルトゥーラ スパイダーは車検証の数値で車重1570kgと、このクラスにあっては異例に軽い。MCLA(マクラーレンカーボンライトウェイトアーキテクチャー)のカーボンモノコックのたまものだ。アクセラレーターを深々と踏み込むと、クルマ全体のエネルギーが後輪に集中して送られ、波動砲を発射したときの宇宙戦艦ヤマトのようなカタルシスが得られる。ふふふ。ヤマトの諸君。あ、これはやられる側のデスラー総統だった……。...