“愚直”という美徳
熱心な顧客の要望に応え、再び国内市場で復活を果たした「トヨタ・ランドクルーザー“70”」。40年間変わらない、決して快適とも便利ともいえない愚直な4WD車は、なぜ今こうも輝いて見えるのか? おおらかな応答のハンドルを握り、その真価を考えた。
ここもあそこも40年前のまま
みなさんは、1984年になにをしていましたか?
なにしろ40年も前なので、まだ生まれていないという方もいるでしょう。西暦1984年は昭和59年、オリコンの年間シングルチャートの1位はわらべの『もしも明日が…。』で、ビルボードの年間シングルチャート1位はプリンスのアルバム『パープル・レイン』に収録されている『When Doves Cry』だった。この年には新紙幣が発行され、一万円札の肖像画は聖徳太子から福沢諭吉に変わり、ロサンゼルスオリンピックでは男子柔道の無差別級で山下泰裕が優勝した。
こう書くとずいぶん昔のように感じるけれど、この1984年にデビューしてから一度もモデルチェンジされずにつくられ続け、世界の現場で活躍しているクルマがある。トヨタのランドクルーザー“70”だ。2004年に日本での販売を終了したものの、発売30周年を記念して2014年から2015年にかけて期間限定で国内販売を復活(参照)。そして2023年に再々復活(参照)を遂げている。
屈強なハシゴ型のフレームからサスペンションが生えるラダーフレーム構造、左右のタイヤを一本の軸でつないだリジッドアクスルサスペンション、4駆にすると前軸と後軸が直結となるパートタイム式4WDシステムなどなど、基本的な構造は40年前と変わっていない。
乗り込んでインテリアを見渡すと、つやのない樹脂類の質感が懐かしい。空調は、風量や風向きをレバーとダイヤルの操作で調整するマニュアル式で、これもあの頃のまんまだ。いっぽうで、その空調操作パネルの下にはタイプCのUSBポートが2つあって、その区画だけ時空がねじれているというか、不思議な味わいを醸している。
基本的な構造は踏襲しているものの、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警告装置、オートマチックハイビームなどの安全装備はしっかりと備わっている。クルーズコントロールは定速走行のみの対応で前車追従はしないけれど、ミリ波レーダーと単眼カメラでドライバーを支援してくれる。...