あざといまでにスタンダード
ロイヤルエンフィールド伝統のモーターサイクルが、最新(?)の空冷単気筒エンジンを得て復活。90年を超える歴史を今日に伝える「ブリット350」は、この上なくクラシックでスタンダードな走りと装いの一台だった。
半世紀前のデッドストックと言われても
「今やトラでさえも……」 今回の試乗車に近づいた瞬間、webCG編集部のトライアンフ乗り、S氏が声をかけてきた。その表情は、なぜかけげんそうだった。 「……トラでさえもフロントフェンダーには樹脂素材を使っているのに、コイツときたら鉄ですよ」。
鉄製フェンダーのなにに引っ掛かるのか、よくわからなかった。ただ、金属ならではの質感が、このオートバイ全体の雰囲気に重みを与えているのは確か。となると彼にすれば、鉄はやっかみのもとだったのかもしれない。
「やるもんだな、ロイヤルエンフィールド」。 これが僕の、いくぶん他人の影響を受けたロイヤルエンフィールド・ブリット350の第一印象だ。違うオートバイが好きな人間を嫉妬させるなんて、わりとまれなことだと思う。
まずは製品説明を。ロイヤルエンフィールドの資料によると、ブリットは今から92年前に発表された、祖国インドの伝統的かつ国民的オートバイ。その最新型がブリット350。末尾の数字が示すのは排気量。ゆえにサイズ感も、日本的に言えば過不足なく中型クラスに属している。
エンジンは、「今どき」と注釈を入れたくなる349cc空冷単気筒OHC 2バルブ。それを抱え込むスチール製フレームとのセットは「Jプラットフォーム」と呼ばれ、他の350シリーズと共用されているそうだ。
全体のデザインは、目に映るままにクラシカル。特にヘッドライトまわりは印象的だ。ライトカバーから飛び出た“タイガーアイ”という名称のパイロットランプは、1954年モデルから受け継いでいる特徴を残したらしい。
いやいや、部分的な話ではないな。ピンストライプ仕上げのフューエルタンクや肉厚な段付きシートも、半世紀前のデッドストックと言われても信じそうな、強いて言えばあざといほどのクラシック感にみちている。重複するが、今どきこんなオートバイが新車で売られる事実自体が、21世紀の驚異に思えた。...