大人のアドベンチャー
MVアグスタからアドベンチャーモデル「エンデューロ ベローチェ」が登場。“イタリアの宝石”とも称される彼らのニューモデルは、既存のマシンとはどこが違い、このジャンルに新風を巻き起こす存在となり得るのか? イタリアからケニー佐川が報告する。
開発に5年を費やしたダカールラリー由来の意欲作
MVアグスタは、走る宝石にも例えられるイタリアの名門。100%イタリア製の、世界一美しく、かつ最高のパフォーマンスを備えたバイクづくりを標榜(ひょうぼう)する老舗ブランドだ。1950〜1970年代にはロードレース世界選手権でもタイトルを量産するなど黄金時代を築いた。その後は二輪事業からの一時撤退や、イタリアの新興二輪メーカーだったカジバの資本参加によるブランド復活などを経て、現在はKTMグループの傘下で体制を強化。ニューモデルの開発を加速させている。
今回試乗がかなったエンデューロ ベローチェは、そのMVアグスタが初めて手がけた量販アドベンチャーモデルである。ちなみに“ベローチェ”とはイタリア語で「速い」の意味。快速長距離オフローダーといったニュアンスだろうか。MVによると開発には5年の歳月を費やしたそうだ。つまり、KTMの血が入る以前から着々と進められてきた一大プロジェクトなのだ。MVアグスタのアドベンチャーモデルといえば、モーターサイクルショー「EICMA 2023」では先行して「LXPオリオリ」が発表されているが(参照)、あちらは1990年代にパリ・ダカールラリーでカジバに2度の優勝をもたらしたイタリア人ライダー、エディ・オリオリをたたえた限定モデル。一方のエンデューロ ベローチェは、そのスタンダード版にあたる量産モデルの位置づけである。
新しさのなかに懐かしさも感じさせるエンデューロ ベローチェのデザインは、かつてオリオリ選手がダカールの砂漠で駆った「カジバ・エレファント900」がモチーフになっている。目を引く円形のサイドラジエーターは当時のメインスポンサーだった「ラッキーエクスプローラー」ロゴのオマージュであり、車体色はかつてWGPを席巻したMV伝統の赤×銀のカラーで彩られるなど、随所に栄光のヒストリーがちりばめられている。ちなみにエンジンから車体まで基本スペックはLXPオリオリと共通である。...