“純血”の名に偽りなし
“サラブレッド=純血”を意味するイタリア語を車名に冠した、フェラーリ初の4ドアGT「Purosangue(プロサングエ)」。既存の車種とはまったく異なるスタイリングのこのモデルを、それでも確かにフェラーリたらしめているものはなんなのか? 試乗を通して確かめた。
ライバルとは趣を異にするたたずまい
このクルマはSUVにあらず。新種のスポーツカーであり、純然たるフェラーリだ――と、彼らはプロサングエをこう解いている。
泣く子も黙るスポーツカーの総代というイメージの強いフェラーリだが、市販車として一貫して手がけ続けているのは、むしろラグジュアリーGTの側である。1950年代以降のツーリングカーレースの隆盛に乗じて、徐々にファクトリーメイドのスポーツモデルが脚光を浴びるようになるが、そのかたわらでは工芸的なつくり込みのクーペボディーの鼻先にたけだけしい12気筒エンジンを収めて、世界の富裕層に頒布していたわけだ。
ミドシップがスーパースポーツの代名詞としてもてはやされるかたわらでも、フェラーリはラグジュアリーGTという軸を守り続けてきた。「400i」から「612スカリエッティ」の流れを経て、その後継的位置づけとして登場した「FF」では、ハッチバックボディーの四駆という新境地に挑戦した。プロサングエはこのFFから「GTC4ルッソ」のコンセプトを、4ドアという実用性を加えながら昇華させたものとも受け止められる。
それにしても、SUVじゃないっていうのは無理があるんじゃないか。そう思いつつも撮影現場に現れたプロサングエを見ての印象は、思ったより小さいなぁ……だった。
その三寸は4973×2028×1589mm。長さも幅も「トヨタ・ランドクルーザー“300”」よりちょっと大きいくらいとなると、マスとして小さかろうはずがない。が、こちらに向かってくる姿は思いのほか軽やかだ。ジャイアンのグーパンチのようなSUV独特の圧を感じないのは、絞りの効いた前下がりな顔面形状によるところか、あるいは1589mmと「アストンマーティンDBX」や「ランボルギーニ・ウルス」よりも低めの全高がゆえか。オラってナンボ系のSUVとは明らかに一線を画している。このあたりにも、SUVと呼ぶなかれというフェラーリの意向が表れているのかもしれない。...