七人の敵あり
「トヨタ・クラウン スポーツ」のプラグインハイブリッド車、すなわち「RS」は、パワートレインのみならずシャシーも専用仕立て。まさに今のトヨタらしい手の込んだモデルといえるだろう。あいにくの空模様ながら、ワインディングロードで思い切り曲げてみた。
「クラウン」を守ったことこそが大英断
その名前以外はそっくり変えてしまった現行のトヨタ・クラウンは、市場にそれなりのインパクトを与えた。乗り味や雰囲気などにおいて、長年クラウンに慣れ親しんできたお客さまを裏切らないこと(=変わらないこと)を何より大事にしてきたクラウンに変調の兆しが見え始めたのは、通称“ゼロ・クラウン”のあたりからだったと個人的には思っている。それまでは、クラウンの試乗会でエンジニアに意見を求められ、正直に話しても「確かにそうかもしれませんが、お客さまはこっちを望んでいますので」と、会話がそこで終わってしまうことが少なくなかった。ところがゼロ・クラウンの試乗会では、それまであまり聞いたことがなかった「ボディー剛性」や「ハンドリング」などのワードがエンジニアからちょいちょい出てくるようになったからだ。
それにしてもクラウン=セダンという、太陽は東から昇り西へ沈むくらい至極当然とされていた常識をぶっ壊し、「クロスオーバー」をはじめとした計4種類を用意したというのは、最近のトヨタのなかではトップレベルの大英断だっただろう。でも、自分としては「クラウン」という名前を変えなかったことこそが大英断だったと考えている。「従来型から引き継ぐものがほとんどないなら、それはもはやクラウンではない」と思うほうが普通だし、車名を変える絶好のチャンスでもあった。ところが商品は様変わりしたのにクラウンを名乗り続けることで、「え、これが今度のクラウン??」と結果的には大きなインパクトを生んだわけで、新しい車名になっていたらここまでの注目は浴びなかったに違いない。もしこれがすべてトヨタのもくろみどおりだったのであれば、誠にあっぱれと拍手を送りたい気分である。...