“あの瞬間”がよみがえる
「日産スカイライン」に走りの性能を進化させた「NISMO」が登場。既存のNISMOロードカーシリーズとひと味違うのは、汗くささとは無縁の「究極のグランドツーリングカー」を目指したというところだ。350km余りをテストした。
GT-Rかそれ以外か
スカイラインには他にはない何かがある。
昭和のオッさんならずとも、『webCG』を毎日見ているようなクルマ好きの皆さんなら、その気配は感じ取っていることだろう。直列6気筒を押し込んだ「スカイラインGT」が「ポルシェ904」に〜うんぬんの歴史的事象は、耳タコ目イボの話だと思うので割愛するけれども、あの瞬間から伝説の主となってしまった、これがスカイラインの運命をゆがめてしまったのかもしれない、と思うことがある。
その節目ごとに現れるのが「GT-R」の存在だ。まずは前人未到のJAF公認戦50連勝を遂げたハコスカ世代に戦闘力を高めるべく企画されたショートホイールベースの2ドアモデルによって、スカイラインといえばクーペだろう的なイメージが決定づけられた。
そしてR32世代。ニュルで鍛えたトルクスプリット四駆によるパフォーマンスは、時の964型「ポルシェ911カレラ2」や「フェラーリ328GTB」といった面々をも上回るに至った。さらにホモロゲ取得用前提ということもあってチューニング適性は非常に高く、手を加えればその速さは別次元。日本車未踏のオーバー300km/hという世界に足を踏み入れるのにさほど時間はかからなかった。
と、いわゆる第2期GT-Rの登場によって、世間はスカイラインをGT-Rかそれ以外かという2つに大別することになってしまう。そして第3期に至るとGT-Rは完全にスカイラインから切り離され、ニュルを舞台に「ポルシェ911ターボ」と世界最速を張り合うモデルへと変貌を遂げたのはご存じのとおりだ。高校野球から日ハムを挟んでMLBと、なんだか大谷さんの処世とも重なって見えるようなその向こう側で、スカイラインはインフィニティの看板を下げて所在なさげにしている。10年前に登場したV37型からは、そんな印象を受けたのは僕だけではないはずだ。...