勝つため(だけ)の進化
トヨタが「GRヤリス」を大幅改良。「モータースポーツを起点としたクルマづくり」で追求したのはレースやラリーの現場での強さのみ。ひたすらマシンとしての戦闘力アップに注力している。新開発の8段ATモデルを中心に、サーキットでその仕上がりを試した。
「壊しては直す」で積み上げたノウハウ
4年前の正式発表時と同じ東京オートサロンで世界初公開された進化型GRヤリス。その最大のトピックは、もちろん新追加された2ペダル自動変速機の「GRダイレクトシフト8AT(GR-DAT)」ということになるだろう。ただ、実際にはエクステリアとインテリア、さらにはシャシーやエンジンにいたるまで手が入っており、フルモデルチェンジではないが、まさに全身進化型といった風情である。
インテリアなどはダッシュボードがまるごと新デザインに交換という大手術を受けているので、ベースの「ヤリス」のマイナーチェンジに合わせたものと早合点しそうになったが、さにあらず。そのインテリアも含めた今回の改良点は、すべてベースのヤリスとは基本的に無関係のGRヤリス独自のものというから驚く。
しかも、今回の取材で筆者が聞いたかぎり、その多岐にわたる改良点のなかで、純粋にデザイン上の変更は1カ所のみである。「ひと目で新しいGRヤリスであることが分かる個性を表現」したという横一文字につなげたテールランプだけだ。それ以外はすべて、GRヤリスの競技ベース車両、もしくはスポーツモデルとしての機能的な進化である。しかも、それらがいちいちマニアックというか、油臭いというか、うっとうしい(笑)くらいのウンチクにあふれているのが、たまらない。
聞けば、4年前にGRヤリスが完成したとき、トヨタの豊田章男社長(当時、現在は会長)は開発陣に「これからがスタート」とクギを刺したという。そこで、GRヤリスは発売直後からスーパー耐久や全日本ラリーに参戦。「壊しては直す、壊しては改善する」を繰り返して蓄積されたノウハウを惜しみなく投入したのが、今回の進化型GRヤリスということらしい。...