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なぜビットコインが高騰すると地球温暖化が加速するのか?


Photo: Adobe Stock
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みなさんは、世の中のちょっとした変化に敏感でしょうか。
数字に強い人は、ちょっとした変化に「違和感」を感じ、自分で仮説をたてて、その理由を数字で考えていきます。
経営コンサルタントとしてこれまで2000社の財務分析、1000人以上のビジネスパーソンに会計セミナーを実施してきた平野薫氏は、@世の中の事象に違和感を持つ→A違和感にフォーカスする→B自分なりに仮説を立てる→C数字で根拠を分析し検証する→D人に話したりブログに書いてアウトプットする、という一連のルーティンを日々継続して行うことが数字に強くなるコツだと言います。まずは、「違和感」を放置せずフォーカスすることが大切なのです。
本連載では、「世の中のふとした疑問を数字で考えるエピソード」が満載の話題の書籍『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』から一部抜粋し、数字に強くなるエッセンスをお届けします。

ビットコインは環境負荷が大きい?

ビットコインなどの「暗号資産」(仮想通貨)と聞いて皆さんはどういうイメージを持たれるでしょうか?

“億り人”、“現代の錬金術”、“怪しい”などなど人によって様々だと思います。

近年では大手証券会社でも子会社を通じて取り扱いを始め、エルサルバドルでビットコインを法定通貨にするなど、世の中に浸透し始めています。

しかし、国内大手取引所コインチェックで管理されていた当時のレートで約580億円分もの暗号資産“ネム(NEM)”が流出するなどセキュリティ面での課題もありますし、匿名性が高く違法取引に利用されやすいなどの問題点が多いのも事実です。

しかし、それ以外にも暗号資産が抱えている大きな問題があります。それは何かというと環境への負荷が大きいことです。

ビットコインのマイニングは莫大な電力を消費する

2021年5月、米電気自動車テスラのイーロン・マスクが、環境負荷を理由にビットコインによる決済停止を表明しました。

元々テスラは2月に、ビットコイン15億ドル(当時のレートで約1650億円)相当の購入と、車両代金の支払い手段として受け入れる計画を公表。実際3月下旬から米国でビットコインによる決済に応じていましたが、たった3ヵ月で方針を転換しました。

テスラは環境に優しいイメージがありますが、ビットコインは真逆の方向性だったこともあり方針転換に踏み切ったのでしょう。

一体ビットコインと環境に何の関係があるのでしょうか?

問題になっているのはビットコインマイニング(採掘)で消費している電力量が非常に大きいことです。マイニングとは採掘を意味しますが、ビットコインにおけるマイニングはハッシュ関数というものの計算作業です。この計算作業をすることでビットコインを獲得することができます。一連の計算行為が、鉱山から宝を探し当てるほど困難なことから「マイニング」と名付けられたそうです。

このマイニングには高性能なコンピュータを大量に用意し、常に稼働させていなければいけません。かつては個人が自宅でマイニングするレベルでも十分に収益をあげることができたようですが、最近ではマイニングの報酬が減り難易度も上がったことから、資金力のある企業が巨大なマイニング施設を作り、事業として行うことが主流となっています。

このような巨大なマイニング施設で大量のコンピュータを稼働させる上で重要なのは電力です。この電力消費が非常に大きく環境負荷が問題になっています。

マイニングの電力消費量は人口2・3億人が使う電力消費よりも大きい

イラスト/春仲萌絵
イラスト/春仲萌絵

イギリスのケンブリッジ大学がビットコインのマイニングによる消費電力量を「Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index(CBECI)」というサイトで公開しておりますが、この電力消費量はビットコインの相場に連動して動きます。ビットコインの相場が上がればマイニングをする業者が増加し電力消費量が増えるということです。

テスラがビットコインでの支払いを認める発表をした2021年2月にビットコインの相場は急騰。それに合わせてマイニングの電力消費も増加しました。しかし方向転換した5月には相場は暴落し電力消費量も落ち込んでいます。

最近ではビットコインの相場はピーク時と比べれば落ち込んでいますが、かつてと比べて相場が安定していることもあり、マイニングの電力消費量は増えてきています。2023年12月時点での年間換算電力消費量は164TWhですが、この電力消費量はノルウェーやスウェーデン、そして人口2・3億人を抱えるパキスタンを超える量です。

全米の冷蔵庫104TWh、照明60TWhと比較してもいかに多くの電力が消費されているかがうかがえますね。同じ採掘でも全世界の金鉱採掘の電力消費量が131TWhなので、本家の採掘以上になっています。

アメリカでは水力発電所を抱える企業が電力会社に電気を売るよりもビットコインのマイニングを行う方が得だと判断し、実際にマイニングを行っていることが話題になりました。

流出事件や各国の政策転換、企業の方針転換によってビットコインの相場は乱高下しており、不安定な相場は今後も続くと思われます。しかし、ビットコインの相場が上がればマイニングの電力消費量が増加するという動きはこれからも変わりません。

新たなテクノロジーと決済手段が広がっていくことは良いことだと思いますが、カーボンニュートラルが人類全体の課題となっている昨今、環境負荷にも配慮した発展が望まれます。

(本原稿は、平野薫著『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』を抜粋、編集したものです)

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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