至高の保守本流
「クラウン」が生まれ変わったといっても、トヨタは古くからの顧客を置き去りにしたわけではない。新しい「セダン」はショーファーカーとしてもドライバーズカーとしても第一級であり、これならロイヤルカスタマーも納得することだろう。ハイブリッドモデルの仕上がりをリポートする。
堂々たるサイズ
保守とは何かについて、思いを巡らせた。クラウン セダンに乗ったからである。16代目クラウンには4種のボディータイプが設定されている。2022年9月に発売されたのは「クロスオーバー」で、1年以上遅れて「スポーツ」とセダンが加わった。さらに「エステート」が続く予定である。1955年に始まる長い歴史を持つクラウンが、これまでとは違う路線に一歩を踏み出したのだ。保守ではなく、革新である。
最初に発売されたことで分かるように、4種のうちで中核的存在なのがクロスオーバーだ。世界的にSUVが主流となっているなかで、これは適切で妥当な判断だといえるだろう。ボディー形状だけでなく、駆動方式も変更された。4WDではあるが、前輪駆動の「GA-K」プラットフォームを使っている。かたくなに後輪駆動を守ってきたクラウンにとっては、革命的な変化だといっていい。
トヨタの頂点に立つクラウンを乗り継いできたユーザーのなかには、唐突な方向転換に戸惑う向きもあるだろう。保守的なモデルを求める人々の救世主となるのがクラウン セダンである。後輪駆動の「GA-L」プラットフォームを用いているのだ。これは燃料電池車の「ミライ」と同じものであり、クラウン セダンにも燃料電池仕様が用意されている。もうひとつはハイブリッドシステムのFR車で、今回試乗したモデルだ。
対面すると、堂々たる体格に圧倒される。全長と全幅はクロスオーバーを超えているのだ。サイズを大きくした恩恵で、威厳のある流麗なフォルムが実現した。ルーフは後方に向かってなだらかに降下し、ハッチバックのようにも見える。実際には広いリアウィンドウの下部も含めてトランクリッドになっており、独立した荷室を持っているのだ。...