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「昇進が怖いのはインポスター症候群かも?」→精神科医が警鐘を鳴らす“行き過ぎた謙虚さ”の正体


Photo: Adobe Stock
Photo: Adobe Stock

「それってインポスター症候群かも?」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

自分がとった行動に
「罪悪感」があるのはなぜ?

世間的に十分に成功者と言われる人でも、メンヘラになるときはあります。

「インポスター症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「自分のことを詐欺師や偽物(インポスター)だと感じてしまう感覚」のことをそのように呼びます。

インポスター症候群は、マリッジブルーや五月病のように、メンタルヘルスが起こす問題のひとつなのです。
仕事で大成功をしても、

「たまたま運が良かっただけだから」
「周りに助けてもらっただけで自分の実力じゃない」

と、謙遜する場面がありますよね。
心の中では、「まあ、自分の実力もあるけどね」と、自分に自信を持っていれば何の問題もありません。

謙虚な性格はもちろんいいことですが、それも行きすぎると問題です。
中には、成功を受け入れられず、本心からネガティブな考え方が消えない人もいるのです。

罪悪感の構造とは

「インポスター症候群」は、自分を受け入れられない心理的な現象です。

たしかに、「宝くじで1億円当たった」ということを「自分の実力だ」と認められないことはあると思います。

しかし、自分が手がけた事業が時の運で大成功して1億円を得たなら、それは素直に「自分の実力だ」と思っていいと思うんですよね。

それに、宝くじの場合だって、「思い切って買ってみた」「当たる店を調べて買った」「買った後に祈願した」などの努力があるかもしれません。

あなたが行動を起こし、自分の判断で宝くじ券を買ったからこそ、当たったのです。

それにもかかわらず、自分の「行動」によって生じた「結果」を、どうしても実力とは受け入れられない。

「努力に対して得られた報酬が身に余る」
「こんな自分には割りに合わない」

と、「行動」と「結果」の間に生じてしまった大きなギャップを、なんとか埋めようと、

「自分が悪いことをしたからではないか?」
「成功しすぎていて、これから何かまずいことが起こる前兆では?」

と、ネガティブに考えてしまって、自分をマイナスな方向にハラ落ちさせてしまうのです。

脳は、納得のいかない現象が起こったとき、それがあまりにもギャップが大きいと感じると、なんとかして理由を導き出そうとする習性を持ちます。

それがたとえ、自分の人生にとってマイナスであったとしても、脳を安定状態にするために受け入れてしまうのです。

人は、自分に対しても、他人に対しても、うまくいきすぎていると、「何かインチキしているのではないか?」と感じてしまいます。

他人に対してなら軽い嫉妬もあるでしょうが、そんな気持ちが自分にまで向いてしまうと、生きづらさを生みます。

それがインポスター症候群の怖さなのです。

「後ろめたさ」を感じる人

ここで、昇進することを嫌がる会社員のナオさん(仮名)の話をしましょう。

ナオさんは、「目立ちたくない」「後ろめたい」という思いによって、「自分が昇進すると妬まれるかもしれない」という心理的な不安を抱えていました。

彼女は過去のトラウマとして、

「自分だけが志望校に受かって、親友から妬まれた」
「顔がいいからって調子に乗るなとイジメられた」
「部活で頑張っていたら、後輩の指導をさせられて負担が増えた」

という経験がありました。それらが影響して、

「目立たないようにすること。変わらないようにすることがラクなんだ!」

と、ネガティブなハラ落ちする体験をしてしまっていたのです。
すると、成功することそのものへの「羞恥心」や「恐怖心」が芽生えてしまいました。

日々、ネットを見ているだけでも、そのクセを強化させてしまいました。
なぜなら、SNSでは、成功している人や有名人ほど、悪口を言われているからです。

「あいつはインチキだ」
「あんなの誰でもできる」
「世間が騒ぐほどかわいくない」……

そんな誹謗中傷を見ることで、ナオさんは自分のインポスター症候群をさらに強めてしまうのです。

その結果、ナオさんは昇進の内示を拒否してしまい、徐々に仕事へのモチベーションを失っていきました。

他人の悪口を、自分が言われているように感じる人は多いはずです。

その一方で、自分の実力を自分で認められる人は、他人の誹謗中傷を受け流すことができます。
自分で自分の成功を承認してあげることは、とても大事なことなのです。

昇進が怖い女性たち

ちなみに、2017年におこなわれた女性活躍推進研究プロジェクトの調査によれば、「ビジネスで成功した女性は妬みを買いやすいと感じているかどうか」という質問に、22%の女性が「あてはまる」「ややあてはまる」と回答しました。

それほど大きな数字に見えないかもしれませんが、男性の7%と比較すると、3倍もの差があるのです。

男性が感じている以上に、女性は昇進や成功に苦手意識があるのです。

かくいう私自身も、もしかしたら自分がインポスター症候群ではないかと感じることがあります。
医学部の受験勉強を頑張って医療の現場に従事してきました。
多くの患者さまが治癒する現場に立ち会え、感謝をいただいたこともありました。

ですが、それほど精力的に働いているときでさえ、心のどこかで「自分はちゃんと医師として働けているだろうか?」と自責する気持ちがあります。

頑張っても、頑張っても自分を認めてあげられない。
自分で自分を褒められないと、たとえ周りの人から感謝をされても、どうしても「本当かな?」と受け入れられないときがあります。

そういうとき、私も時間をかけてジンクスの魔法で「ハラ落ちする体験」を起こすようにしています。

どれだけつらくても、考え方で自分を変えることはできます。

「どんな小さなことでも、自分で自分を褒めてあげましょう」

というアドバイスは、言うは易く行うは難しですからね。ジンクスの魔法でハラ落ちする体験を生み出しましょう。

(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10〜20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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