ひたむきな実用車
スズキの軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」がいよいよモデルチェンジ。3代目となる新型は、躍進した先代から成功を引き継げるのか? ライバルに対するアドバンテージとは? 外身はキープコンセプト、中身は大きな進化を遂げた3代目の実力をリポートする。
いつの間にか2位争いの常連に
新しいスペーシアは、キープコンセプトのモデルチェンジといっていい。先代が“スーツケース”なら新型は“コンテナ”と、そのモチーフに微妙な変更はあるものの、強度を高める波板加工を模したツール感あるデザインテイストは、新旧でよく似ている。
軽自動車(以下、軽)ゆえに当然のごとく全長と全幅は不変だが、1785mmという全高も先代のそれを踏襲。プラットフォームも先代の改良型で、パワートレインでは自然吸気(NA)エンジンと変速機が新しいが、ともに2020年の「ハスラー」から投入された最新世代へのアップデートだ。
なぜここまで明確なキープコンセプトかというと、それは先代スペーシアが成功したからだ。初めてスペーシアを名乗った先々代は、キャビンを絶妙にしぼったクルマらしいデザインや、リアががっちり踏ん張る正確で俊敏な操縦性、そしてクラストップの低燃費が美点だったが、売り上げ面では「ホンダN-BOX」と「ダイハツ・タント」に大きく水をあけられていたことは否めない。そんな先々代から一転して、全高を高めて四角四面のプロポーションを取り入れた先代は、販売台数では王者N-BOXに次ぐ2番手争いの常連となった。
とくに標準モデルに早くも見慣れた感があるのは、スクエアなヘッドライトと水平メッキグリルによる顔つきまで先代に酷似しているからだ。いっぽう、先代ではギリギリまで大面積化されたグリルが特徴的だったカスタムは、新型ではその面積が縮小されて、グリル自体もシンプルな意匠となっている。
最近の軽カスタム顔のハヤリとして、あまり大げさなグリルデザインを好まなくなっているのも事実だが、「先代のカスタムは、ホンダやダイハツに追いつき追い越せと、より目立とう、より派手にしよう……という意図があった」とは開発担当氏も認めるところだ。新型カスタムのハンサム顔は、いわば成功者の余裕といったところか(笑)。...