クラスを超えた価値がある
アウディのラインナップの中で、最もコンパクトなSUVとなる「Q2」。都会の道からワインディングロードまで走らせてみると、ボディーのサイズにとどまらない、このニューモデルならではの存在意義が見えてきた。
SUVでよかった
目の前にシャベルがゴロゴロ転がってきた! 左のレーンを先行して走っていたトラックからゴトンッと落っこちたのだ。そのとき、5月某日の朝、筆者は「アウディQ2ファーストエディション」のステアリングを握って箱根方面を目指していた。場所は首都高速3号線、用賀インターのちょっと手前である。
左のレーンに避けるべきか、それとも急ブレーキを踏んで止まるべきか。2車線の追い越し車線を走る筆者のQ2の背後には観光バスがいた。判断が一瞬遅れた。そんなこと言ったって、急ハンドル切ったらアブナイし、急ブレーキかけたらバスに追突されるかもしれないのだからしようがないじゃないか。
じつのところ、筆者には勝算があった。賢明なる読者諸兄はすでにお気づきのように、アウディQ2は、同じMQBプラットフォームとはいえ、最低地上高が「A3」より35mm高い、180mmもある新しいスポーツ・ユーティリティー・ヴィークルである。路面とボディーとのあいだに18cmも空間があれば、襲ってくるシャベルをまたげるに違いない。じんわり減速して、ゴトンと乗り越えた。思わず目をつむった。目を開けると、ローリング・シャベルは次の標的たる観光バスに襲いかかっていた。シャベルを踏んづけ、何事もなかったように走り続けるバスをルームミラーで確認した筆者は内心、あー、よかった、とつぶやいた。
2016年のジュネーブショーで発表され、ドイツ本国では同年秋から発売の始まったアウディQ2はフツウの乗用車が想定外とする路上の障害物を想定内とするもののように、この危機を文字通り乗り越えた。21世紀に入ってからこのかた、需要がますます高まるSUVは、最低地上高がたっぷりとられている分、予測不可能な未来により柔軟に対応できる。ここに、こんにちにおけるSUVの、ブームというよりはデファクトスタンダード化の一因が隠されているのではあるまいか。...