カタチは乗り味を表す
「CALM SANCTUARY(静穏な聖域)」という開発テーマに磨きをかけ、内外装をリニューアルした「レンジローバー・ヴェラール」。ディーゼルエンジンを搭載する2024年モデルのステアリングを握り、その走りと無二なる世界観の進化を確かめた。
乗ってみたいと思わせる力がある
2017年にレンジローバー・ヴェラールが登場した時の驚きは昨日のことのように、と書くと大げさですが、いまもありありとよみがえる。ボディーに段差や隙間や出っ張りがないトゥルンとしたフォルムは清流に磨かれた玉石のようで、鋭利なキャラクターラインや複雑なパネル構成でアピールする競合他車とは異なるアプローチだった。控えめだけど美しい、という往年の吉永小百合的なデザインで、デビューから数年を経ても見飽きることがない。
2024年1月、ヴェラールの内外装に手が加わることが発表された。具体的には、まずフロントはヘッドランプとデイタイムランニングライトの意匠が変わり、グリルの模様もより繊細なものになった。リアに目をやると、テールランプとバンパーが新しいデザインになっている。従来型の写真と並べて比べると、全体にシュッとしたというか、より洗練されたたたずまいになっている。
で、フェイスリフトを受けたヴェラールを間近に見ながら思い出したのは、自動車デザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロの、ミラノ大学での講演会のスピーチだった。ジウジアーロは、こんなことを言っている。
「クルマを見慣れていない人には車種を見分けることができない。ましてや内部の細かい部分には興味を持たない。たとえばこのネクタイだって、見た目は気にするけれど、誰も織り方に興味を持たない。どう見えるかデザインするかが大切なんだよ」
ヴェラールは、車種を見分けることができない人でもパッと振り向かせ、内部の細かい部分に興味を持たない人でも乗ってみたいと思わせる力がある(と思う)。これだけ格好よければ中身がボロでもOKでしょ、と思っていながら、ドアを開ける。...