魂の解放
ランボルギーニが誇るV10エンジンが、間もなくその役目を終えようとしている。つまり「ウラカン テクニカ」に積まれた最高出力640PSのユニットを楽しめる時間は残りわずかということだ。「これが最後!」とばかりにレブリミットまで味わってみた。
ランボルギーニがつくった世界
箱根ターンパイクのキンギョと呼ばれる駐車スペースで、ランボルギーニ・ウラカン テクニカに乗り換えた。着座してシートベルトを締め、センターコンソール中央にあるミサイルの発射装置みたいな赤いカバーを上に跳ね上げて、ヘキサゴン(六角形)のスターターを押す。グオンッ! と背後の5.2リッターV10自然吸気ユニットが爆裂音を発して目をさます。ドアの内張りはカーボン製で、ドアレバーは存在しない。代わりに赤いヒモが付いている。忘れがたい同様の方式は964型「ポルシェ911カレラRS」だ。あれはめちゃんこ乗り心地がハードだった……。ただ、カーボンと赤いヒモを除くと内装はターコイズブルーの差し色が効いていて、むしろ華やかである。スマホを置く場所もないところは潔い。
慎重にスタートする。といってギアボックスは7段DCTだから、エンストの心配は要らない。ギアチェンジの際のあれこれも。ただアクセルペダルに載せた右足に力を込める。ウラカン テクニカはごくフツウに走りはじめる。
乗り心地ははっきり硬い。硬いけれど、ターンパイクの路面は良好だから、ものすごくスムーズで軽快に感じる。でもって、アクセルをもうちょっと踏み込む。タコメーターの針が4000rpmを超えると、パフォオオオオオオオオオッ! というエンジン音が室内にとどろく。比較的静かだった世界が一変する。それこそ世界がひっくり返るほどに。耳の奥が痛い。ご近所から苦情が絶対来る。ああ。なんたるエンタメ! 4000rpmから先は非日常の世界。フェスです。ということをウラカン テクニカは明瞭に伝えてくる。ああ。これぞランボルギーニ。これぞスーパーカー。なんてすてきなんだぁ。
こういうのがお好きなんでしょ。というお客さん向け。わかってるなぁ、ランボは……。と思ったけれど、そうではない。ランボルギーニが非日常の世界をつくった。その突き抜けた非日常の世界に熱狂する人たちがいた。そういえば、ランボは今年で60周年。ああ。おめでたい!...