最上のぜいたく
フェラーリの新時代を担う、プラグインハイブリッドのスーパースポーツ「296」シリーズに、オープントップの「296GTS」が登場。粛々とした電動走行も、快音を奏でての走りも楽しめるこのクルマの二面性を、よくできたハードトップを全開にして堪能した。
2つの耐久レースで挙げた勝利
今年100周年を迎えたルマン24時間レースでは、同年より世界耐久選手権に参戦するフェラーリが「499P」で総合優勝を遂げた。前回の総合優勝が1965年の「250LM」……とあらば、58年ぶりの勝利ということになる。
その報の陰に隠れてしまった感もあるが、実はフェラーリ、今年のニュルブルクリンク24時間レースでも「296GT3」が総合優勝を果たしている。ドイツ車の総本山ともいえるその場所、そしてその催しでの跳ね馬の総合優勝は、初めてのことだ。
と、この2つの勝利に絡んでいるのが、「296」というわけである。ニュルの優勝車はその名が示すとおり、「296GTB」をベースに電動パワートレイン部を撤去した「F163CE」ユニットを用いている。そしてルマンの優勝車が搭載するのも、同じF163CEの基本設計をもとに、ストレスメンバーを兼ねる構造としてアーキテクチャーを変更した120°バンクの3リッターV6ユニットだ。
ともにデビューイヤーだというのに、勘どころの24時間耐久レースで最高の結果を示す。こんなムシのいいシナリオは当のフェラーリもさすがに描いていなかったのではないだろうか。特にカスタマーレーシングのカテゴリーでただならぬ速さをみせた296GT3は、今後間違いなく導入するレーシングチームが増えるだろう。
というわけで、今回試乗したのはその296ファミリーの最新モデルとなるGTS、つまりスパイダーだ(参照)。上屋はエンターテインメント性の高い仕様でありながら、試乗車にはクローズドでのスポーツ走行などを想定したパッケージオプション「アセットフィオラノ」が組み込まれていた。1960年代を中心に、イギリスのフェラーリ販売店にしてレーシングチームを運営していた「マラネロコンセッショネアーズ」の車両カラーリングをイメージした水色のリバリーは、アセットフィオラノのみがまとえるオプションで、ステッカー的なものではなく、赤い車体色と平滑につながるペイントで仕上げられている。...