復活の大名跡
日産が誇るスポーツセダン「スカイライン」に「NISMO」バージョンが登場。“ザ・スカイラインGT”を開発テーマに、目指したのは究極のグランドツーリングカーだという。フェンダーに貼られた「GT」バッジの輝きは果たして本物か!?
始まりは1964年
日本で初めての本格的な自動車レースといわれる日本グランプリ。今年はその第1回が開催されてから60年の節目を迎える。
時は高度成長期、そして世界のレースシーンはナショナルカラーからスポンサーカラーへの端境期ということで、当初から国内の自動車メーカーや一般企業のマーケティングにまつわる期待値も高いなか、その第2回、つまり1964年に巻き起こったのが、時のプリンス自動車が送り込んだ「スカイラインGT」が、投入間もない「ポルシェ904 GTS」の前を1周ながらも抑えて走ったという、今も語り継がれるエピソードだ。日本のクルマ好きにとってそれは東京オリンピックや新幹線開通よりも衝撃的な、もはや戦後ではないの最たる出来事だったのかもしれない。
以降、スカイラインは日本を代表するスポーツモデルとしての地位を絶対のものとする。S54系の偉業を「羊の皮をかぶった狼(おおかみ)」と言い表したのは有名な話だ。そのロードゴーイングモデルともいえるS54B型「スカイライン2000GT」はちまたで“スカG”と称され、後にプリンスの吸収合併先となった日産による「スカイラインGT-R」伝説の礎ともなった。
……と、これはかれこれ半世紀以上も前の話だ。オッさんたちにとってのその名の重さと、若きクルマ好きが描くスカイラインのイメージとは、少なからぬ乖離(かいり)があった。そのギャップを埋める役割を果たしたのが、2019年夏のマイナーチェンジで追加されたハイパフォーマンスグレードの「400R」だ。スカイライン史上最高となる400PS超のパワーが与えられたそのモデルは、一見すると標準モデルとの差異がわずかな、まさに羊の皮をかぶった狼のような存在だった。...