健やかなラグジュアリー
ベントレーのラグジュアリーSUV「ベンテイガ」に、ロングモデルの「EWB」が登場。「ミュルザンヌ」の後継を担う“フライングB”の新しい旗艦は、その肩書とは裏腹に“控えめさ”を感じさせる一台となっていた。ベントレーが提唱する高級車の新しい価値に迫る。
ロングのほうがそれらしい
筆者にとって初めて見るベントレー・ベンテイガEWBは、標準のベンテイガより佇(たたず)まいが控えめであるように感じた。え? このでっかい、黄金色のSUVが控えめだなんて、筆者の目は節穴か。と読者諸兄はいぶかられるかもしれない。じつのところ、書いていて懐疑的である。控えめ。アンダーステイト。でも、そう感じたのは本当である。あくまで標準型との比較の話かもしれないけれど、そうなのだ。
例えば、グリルである。レーシーな網模様ではなくて、オーセンティックなクロームの縦方向のスリット型に変わっている。これが攻撃性を薄め、華やかさと同時に落ち着きを醸し出している。真横から見ると、後ろのドアの長さに一瞬ギョッとする。ホイールベースが180mmも延びているのだから当然だ。でも違和感がない。しばらく眺めていると、長い胴体がプロポーションをより流麗に見せ、いわばドレッシーなスカート、男性の服装でいえば、えんび服のような優雅さを感じさせる。フォーマル感がアップしていて、ベンテイガは最初からこうだった、と思わせる。
フロントのドアを開けると、真っ白の内装が歓迎してくれる。結婚式の会場さながら。それでも、この白はシルクというより木綿のような白さで、控えめに感じる。
テスト車が「アズール」であることもあるかもしれない。アズールはベントレー各モデルに共通するグレードのひとつで、ウッドパネルや刺しゅうなど、吟味した素材と多めの職人仕事による、正統的英国調の内装を特徴とする。写真では真っ白けでハデに見えるけれど、落ち着いた雰囲気がある。22インチのアズール専用のキラキラのホイールは外観の話で、乗車すると見えなくなる。...