新しい課題
「EQS」に始まり、短期間に新世代の電気自動車(BEV)を一挙投入して市場掌握を狙うメルセデス。最新の「EQE53 4MATIC+ SUV」は、メルセデスAMG初のBEVのSUVという触れ込みだ。国内導入を前に、アメリカで試乗した第一報をお届けする。
忘れてました
メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV(以下、EQE53 SUVと略す)の試乗会はアメリカ・サンディエゴで開催された。ほぼ時期を同じくして、「メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス」の試乗会がサンタモニカで開催されていたので、このクルマを試した後にS63の試乗会にもお邪魔した。果たしてこの順番がよくなかったのか、あるいはS63の出来がよすぎたからか、正直に言うとEQE53 SUVの印象のほとんどが忘却のかなたに消えうせてしまい、久しぶりにプレスリリースを最初から最後まであらためてじっくり読み込んで、記憶の糸をたぐり寄せた。
以前寄稿した、AMGではない「EQE SUV」の原稿に「極上の無難」と書いた。BEVらしさよりもメルセデスらしさに重きを置いた味つけは、人によって好き嫌いが分かれるような強いクセもなく、一台のクルマとしてバランスよくまとめられた出来栄えだったからだ。また、こんなことも書いている。「『EQE500』は少々パワフルすぎて、オーバースペックのような気がした」と。“500”でオーバースペックと感じたなら“53”はまともに扱える代物なのか、という懸念が試乗前にはあったのだけれど、実際にはそんなことはなくて、だからこそ余計に強い印象が残っていなかったのだと思う。果たしてせっかくAMGが仕立てたのにこんな感じでいいのだろうか?
くしくも、AMGの真骨頂である専用の内燃機を積んだS63と、内燃機を持たないBEVのEQE53 SUVを同時に試乗することで、昔流に言うところの“チューニングメーカー”の行く末みたいなものを考えざるを得なくなってしまったのである。...