「飛び込み」「物売り」「足で稼ぐ」「ノルマ」「テレアポ」といった言葉を連想する「営業」。あらゆる職種の中でも人気が低く、労働生産性が低い営業は大きく変わろうとしている。『NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則』では、7つの新しい営業メソッドを駆使して、古い営業スタイルを大きく変える「NEW SALES」について、具体例を交えて解説している。最先端のテクノロジー企業が「できる営業」に多額の報酬を払い、企業の成長エンジンに「営業」を据えて躍進するようになった現代に必須の一冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「NEW SALES」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)
営業は「売り込む」ことだった
かつての営業といえば、商品を「売り込む」ことが中心だった。
「業務効率化するにはこのシステムが最適です」
「この包丁は切れ味バツグンです」
「このスマートウォッチはモバイルSuica対応です」
といったように、商品の機能や性能が優れていることを伝えるのが「営業」であった。
本書では、この営業スタイルを「プロダクト営業」と表現している。
プロダクト営業からソリューション営業へ
ところが、1980年代になると、単価の高い商品・サービスの営業で成果を出す営業担当者の特徴が変わってきた。
彼らは顧客の課題を引き出して、それに対して解決策を提示することで、商品を提案していることがわかってきた。
単に商品のスペックを伝えて一方的に買ってもらうのではなく、顧客のニーズを聞き出し、それに適合する商品・サービスを提案する「ソリューション営業」がメインになってきたのである。
ソリューション営業の限界
ところが、著者はソリューション営業についてもすでに形骸化が進み、時代にマッチしていないという。
1987年に出版された営業の名著『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』には、ソリューション営業を実現するための秘訣が、営業担当者から顧客へ「質問」することだと書かれている。
本書の中でも「SPIN営業術」がこのように紹介されている。
一見、SPIN営業術は優れた質問で、顧客の課題を明確にしてくれそうだ。
しかし、この質問が成立するのは、顧客が課題をはっきり認識しているときに限られる。
大抵の場合、課題が見えていないから対処できず問題が起きているから、ソリューションが提供できない状況になっている。
「示唆質問」や「解決質問」をすることで、潜在的な課題を引き出せる可能性はある。
しかし、顧客自身が自覚していない課題について、営業担当者が質問するのは難しい。
ここにソリューション営業の限界が存在する。
意思決定のプロセスをストーリーで伝える営業術
そもそも顧客は「こうなりたい」「こういった問題を解決したい」という願望を実現させるために商品・サービスを購入する。
本書では、顧客が購入にいたるまでには以下のプロセスがあると紹介している。
これからの営業は、単に商品を売り込む「プロダクト営業」ではなく、困りごとを聞く「ソリューション営業」でもない。
顧客の理想を聞いて、現状とのギャップを埋めるにはどうしたら良いかを一緒に考えて、最適な方法を導き出すのだ。
本書ではこの営業を「ストーリー営業」と呼んでいる。
ストーリー営業では、営業担当者が顧客に、「理想→課題→価値→方法」のストーリーを伝えた上で、購買の意思決定をうながす。
顧客が実現したい理想、解決したい課題、自社の商品・サービスで提供できる価値と、自社の商品・サービスが提供する方法を、一連のストーリーとして伝えていく。
商品・サービスのCM絵コンテを書いてみる
「プロダクト営業」や「ソリューション営業」に慣れた人ほど、「ストーリー営業」を理解しにくいかもしれない。
そんなときには、自社商品・サービスを使って、「理想→課題→価値→方法」の順番で架空のテレビCMの絵コンテをつくってみることをお勧めする。
もし、自社の商品・サービスの「理想→課題→価値→方法」のストーリーがぼんやりしているようだったら、ぜひCMをつくることを想定して絵コンテをつくってみてほしい。
それによって「ストーリー営業」が実践できるようになるだろう。
顧客の理想を思い描き、そこから現状に戻って考えると潜在的な課題に気づく。
その課題の解決にいたる物語をイメージすることが「ストーリー営業」の本質である。
この「ストーリー営業」こそ、これまでの「OLD SALES」から「NEW SALES」に生まれ変わるための最初の一歩だ。
顧客が購入した先にある物語が、「NEW SALES」で営業担当者が売るべきものだからである。